2006年5月21日(日)「しんぶん赤旗」
GM系会社900人を解雇
英国 政府、業界と労組を支援
【ロンドン=岡崎衆史】米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下の英自動車メーカー・ボクソールは十七日、英中部のエルズミアポート工場で働く労働者の三分の一近い約九百人を八月末に解雇すると発表しました。製造業労組アミカスや運輸一般労組(TGWU)は、失業と雇用不安の広がりに懸念を表明。一方、政府は、会社と労働者の双方への支援を約束しました。
英国では四月、仏自動車メーカーのプジョー・シトロエンが来年半ばまでに二千三百人を解雇すると発表したばかり。ボクソール社は解雇計画の理由に「長期的な競争力をつけるため」、コスト削減と生産性の向上を図ることをあげています。
アミカスのシンプソン書記長は、「自動車産業と英国の製造業にとっての新たな痛烈な打撃だ」と述べ、解雇計画撤回を要求しました。
TGWUのウッドリー書記長は、BBCラジオで、「市場に任せておくだけでは製造業の大量人員削減を防ぐことはできないことを政府が理解するよう求める」と指摘し、解雇回避のための政府の積極的な支援を要求しました。また、同書記長は、会社側が解雇を強行する場合には、ボクソール社の製品の不買運動を行う可能性にも言及しました。
一方、政府は、ブラウン財務相とダーリング貿易産業相が十七日現地入りし、ボクソール経営陣と会談、同社への財政的な援助を約束しました。
ブラウン財務相はまた、「影響を受ける労働者一人ひとりが新しい職場を見つけるための支援」を表明しました。ブレア首相も同日の国会答弁で、GM社のワゴナー会長と直接話し合い、政府としての支援策の検討を行う意向を表明しました。