2006年5月19日(金)「しんぶん赤旗」
教育基本法改悪法案
徹底審議は国民の声
日本共産党の3つの提案 ますます重要に
衆院教育基本法特別委員会は、教育基本法改悪法案の審議のあり方をめぐり、理事懇談会で与野党協議が続いています。制定(一九四七年)以来、初めての改定案の審議であり、日本共産党の志位和夫委員長が提案した国会の扱いでの三つの提案が、国民が求める徹底審議を行う上で、ますます重要になっています。
(1)国会として、教育基本法がもつ準憲法的な性格にふさわしく
教育基本法は、憲法と学校教育法など教育関係の諸法令をつなぐ根本法としての性格をもっています。憲法公布の翌年、その理念実現を前文に掲げ、「日本国憲法の精神にのっとり」制定されたことから、憲法に準じた法律とされます。
ですからその扱いは、一般法律以上に準憲法的性格にふさわしい徹底審議が求められるのです。
しかも、政府・与党の改悪法案は、その全面改定を内容としています。時間がないからといって、数の力で強引に成立を狙うことは論外です。「毎日」十六日付の世論調査では、改悪法案を今国会で成立させるべきかとの問いに、七割以上が消極姿勢か反対とこたえています。
日本共産党の石井郁子副委員長は、十八日の衆院教育基本法特別委員会の理事懇談会で、法案の準憲法的な性格にふさわしく、首相出席のもとで十分な審議をすべきだと求めました。民主党も「教育基本法は憲法の付属法」(鳩山由紀夫幹事長)として徹底審議を求め、今国会での成立に反対する立場は共通しています。
(2)国民的な議論を保障し、国民各層からの意見を十分反映させる
学校の荒れや学力の問題、高い学費など、子どもと教育をめぐるさまざまな問題に、国民は心を痛めています。その声を十分に反映させ、教育のあり方をめぐる国民的な議論を保障することは、準憲法的な法律の改定の審議にあたって当然のことです。
教育界はもとより法曹界からも、日本弁護士連合会が会長声明で、政府・与党内の合意だけで法案提出に踏み切ったことを、「このような形での法改正は、教育の憲法ともいわれる教育基本法の改正の在り方としては不適切」と批判するなど、懸念の声があがっています。
教育基本法の改悪を「憲法改正と並んで、自民党結党以来の悲願だった」(自民・下村博文氏)として、短時日で強行することは、教育を党利党略でゆがめることになります。
(3)政府・与党内での密室協議の議論内容、資料を国会に報告、提出する
教育基本法改悪問題は、教育改革国民会議、中央教育審議会を舞台におこなわれ、〇三年五月からは自民、公明両党の教育基本法に関する「協議会」と実務者による「検討会」で法案の検討が続けられました。ごく少数の与党議員による密室協議を三年間つづけたことになります。
日本共産党の石井副委員長は十六日の衆院本会議で、「与党協議の会議録を国会に提出すべきだ」と強く求めました。小泉首相は「政府はお答えする立場にない」とのべましたが、与党協議では文部科学省が作成した資料が配布され、担当者が出席するなど公的な性格をもっていました。法案作成者の意図を明確にするためにも、審議の前提ともなる当然の要求です。
民主党、社民党も「与党内で七十回議論したといいながら、中身がまったく見えてこない。国民不在だ」(鳩山氏)、「誠実に国民に対して経過を説明する義務がある」(社民党・保坂展人氏)と批判しています。
石井氏をはじめ野党側は、衆院教育基本法特別委員会で、資料の提出を一致して強く求めています。これに対し、自民党の町村信孝理事は十八日の理事懇談会で、「資料については、何月何日にどういう議論をしたか提出する」とのべました。会議録はもちろん、文部科学省作成の資料を含めて与党協議の全体を明らかにすべきです。
(小林俊哉)