2006年5月17日(水)「しんぶん赤旗」
“借金製造マシン”に
高金利被害者 体験語る
議員に引き下げ法改正訴え
高金利引き下げ全国連絡会(代表幹事・宇都宮健児弁護士ら)は十六日、多重債務の原因となっている高金利の引き下げを求めて、国会議員へのいっせい要請行動をし、院内集会を開きました。集会には日本共産党、自民、民主、社民の各党議員が参加。高金利の被害者が国会議員の前で被害体験を語り、出資法の上限金利(年29・2%)を引き下げる法改正を訴えました。
埼玉県の年金生活者の女性(66)は、二十年以上前に生活費に困りサラ金から借金、パートの収入が少ないために返済に困り、多重債務になった体験を語りました。女性は、一度、親族に肩代わりしてもらったものの、サラ金からの「借り入れできるから」などの勧誘に「つい」借りてしまい、ついにはヤミ金からも借り入れ。「鳴っていない電話の音が聞こえた。地獄のような日々」を過ごしたといいます。
しかし、司法書士に相談すると、利息制限法を超える高金利をサラ金に長年支払っていたため、サラ金の借金は二百五十万円もの過払いになっていたことがわかりました。女性は「サラ金の利息が違法とは知らなかった。あっけにとられました。どんな思いでヤミ金に返していたか…。娘の縁談は、一人は五年、一人は三年も付き合った相手なのにどちらも破談になった。本当にかわいそうなことをした」と涙ながらに語りました。
埼玉県の会社員の男性(38)は、マルチ商法被害がきっかけでサラ金からの借り入れをはじめ、その後、毎日何本も職場に電話が入るなどしつこい勧誘を受けたすえ、多重債務に陥った体験を報告。数百万円の借金を親族が二回も肩代わりしましたが、「お金がなければすぐに借りる、借金に頼る自分になっていた。異常、病気でした」と振り返りました。
男性は、夜遊び、ギャンブルでまた八百万円の借金をつくり、「自殺を考えて家を出たが、妻と子どものことを考え、死ぬことができなかった」と話し、「自分は貸金業につくられた借金製造マシンだった。借金は返せるが、家族にしたことは一生消せない。私のような多重債務を生み出しているのは高金利と過剰融資。貸金業者がそれをできないように法改正してほしい」と国会議員に訴えました。
宇都宮弁護士は、金融庁の貸金業制度に関する懇談会が中間とりまとめで「出資法の上限金利を利息制限法に向け引き下げるべきとの意見が大勢だった」と明記したこと、最高裁で貸金業者に利息制限法の厳守を求めた判決が出たことを紹介。「司法と行政は金利規制強化を打ち出した。残るのは立法で、ぜひ司法と行政の判断を重く受け止め、金利引き下げの(出資法)改正案を早急に国会に出してほしい」と話しました。
集会では日本共産党の佐々木憲昭衆院議員、大門実紀史、仁比聡平両参院議員と、自民、民主両党議員があいさつ。仁比議員は「高金利は被害であり、加害者と被害者がいると政治がはっきり認識する必要がある。世論を今後の国会で実らせなくてはいけない」と話しました。