2006年5月16日(火)「しんぶん赤旗」

主張

空自のイラク作戦

撤退どころか空輸先拡大とは


 イラクでの戦闘がつづき、日本国内では自衛隊撤退を要求する声が強まっているのに、麻生外相が、クウェートを拠点におこなっている航空自衛隊の空輸範囲を、南部の空港からバグダッドに広げても「問題がない」と発言しました。

 小泉政権の閣僚として、イラク空輸作戦の拡大を示したのははじめてのことです。陸上自衛隊のサマワ駐留継続に固執するばかりか、アメリカいいなりに航空自衛隊の空輸先をイラク全土に広げるなどとんでもない話です。

危険はさらに強まる

 アメリカは、サマワでの活動について意見交換した昨年秋の日米英豪四カ国会議以来、陸自の撤退に理解を示すかのような態度をとりつつ、空自の活動継続とサマワに近いタリル空港などに限っている輸送先をバグダッドや北部にも広げるようせまっています。

 小泉政権は「戦闘地域には行かない。危険な地域にはいかない」といってサマワやクウェートに自衛隊を派兵しました。アメリカの要求を受け入れることは、政府見解さえほごにし、戦闘地域での米軍支援にふみだすことを意味します。輸送先拡大をねらう外相発言は重大です。

 外相発言は小泉政権の考えを代弁しています。小泉首相は、昨年十二月にイラク特措法にもとづく基本計画を変更した際、輸送先拡大問題について「日本で独自に判断していきたい」と肯定的姿勢を示しました。基本計画の変更に伴って実施要項も変更されましたが、バグダッド、北部のバラド、モスルなど四つの空港例示に変更はないものの、実際には、空自が活動できる空港をイラク国内二十四カ所に増やしていたことも判明しています。

 空自の輸送支援は米軍作戦を支えています。さらに米軍拠点地域にまで兵員と軍事物資を輸送し、米軍支援を強めるなど言語道断です。これ以上、罪のないイラク国民の殺りくに手を貸すべきではありません。

 外相は「バグダッド空港でロケット弾が撃たれた例はここ二年ぐらいない」「空自のC130輸送機はミサイル妨害機能がある」といいます。しかし、これはバグダッドでの戦闘状況を無視しています。危険なバグダッドに輸送機を飛ばすのは、自衛隊員の「安全の確保」を義務づけたイラク特措法にさえ反します。

 「バグダッドへの物資や隊員の輸送などに国連の要望が強い場合」など、国連をもちだすことによって輸送先拡大を合理化しようとしていることも重大です。イラク特措法は、戦闘行為が行われている地域、活動中戦闘行為が行われることがあると認められる地域での活動を禁じています。国連の依頼でも輸送はできません。国連をだしにして、アメリカの輸送先拡大要求にこたえるようなことはやめるべきです。

空も陸も撤退せよ

 イラク戦争は、アメリカが大量破壊兵器があるとうそをついてはじめた大義のない戦争です。宗派対立を呼び起こし内戦さえ危ぐされる状態にしたのはアメリカのせいです。

 バグダッドをはじめ中部でも北部でも戦闘は続いています。バグダッドで米軍とイラク軍がイスラム教シーア派のモスク(礼拝所)を攻撃。バグダッド南西で米軍ヘリが攻撃され墜落。米軍が中部で開戦以来最大規模の軍事作戦を実施。米海兵隊が西部で武装勢力と交戦…。米軍がいる限り、危険がいっぱいです。

 陸自も空自も撤退し、泥沼から一日も早く抜け出すべきです。


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