2006年5月15日(月)「しんぶん赤旗」
「愛国心」強要許せない
「君が代」強制解雇裁判 原告ら集会
東京都教育委員会による「日の丸・君が代」強制問題で、卒業式での不起立を理由に定年後の再雇用を取り消された元教師らでつくる「解雇撤回を求める被解雇者の会」が十四日、都教委を相手取った裁判の報告集会を都内で開きました。国会で教育基本法改悪の動きが強まる中、「『愛国心』の押し付けは許せない」「(教育勅語体制の反省に始まった)戦後教育の価値観が覆されようとしている」など、危機感が込められた発言が相次ぎました。
この裁判は元教師十人が原告となり、地位確認と損害賠償を求めています。二〇〇四年六月に提訴し、横山洋吉・前都教育長らも尋問を受けています。今年末に結審し、来春までには判決が出る見通しです。
報告集会では原告全員が発言。「歴史上の出来事と思っていた治安維持法が(共謀罪新設法案として)目の前に現れてきた。恐ろしい」「石原都政が進めている『日の丸・君が代』強制は、憲法と教育基本法改悪の前例になる。われわれはそういうものとたたかっている」などと話しました。
ある原告は「『新たな戦前』ともいうべき状況だが、戦前とちがって日本国憲法がある。めげずに明るくやっていきたい」と話しました。
弁護団の秋山直人弁護士は、教育基本法一〇条が「教育は、不当な支配に服することなく」と定めていることを指摘。「法廷で、都教委が通達と職務命令で学校現場の自主性を奪っている状況を、具体的に明らかにしてきた。教育基本法の意義をあらためて世に訴える意味でも、勝訴したい」と話しました。
報告集会に続いて、原告団を支援する「『君が代』解雇裁判を共にすすめる会」の総会が開かれました。裁判支援とあわせて「教育基本法改悪阻止の運動に積極的に参加」するなどの活動方針を決めました。