2006年5月14日(日)「しんぶん赤旗」
菜の花サミット宣言
バイオ燃料 非課税化を
有害物質削減に威力
「きいろい花たちの挑戦 ディーゼルで開く21世紀の革命」をテーマに、全国菜の花サミット(実行委員長・川本和明香川大学名誉教授)が13日、2日間の日程で香川県高松市で始まりました。化石燃料の軽油の代わりに菜の花からとるナタネ油や使用済みのてんぷら油を燃料化したバイオディーゼル燃料(BDF)を利用した各地のとりくみを交流しました。
公共運輸部門のほか大手企業でも配送事業にバイオディーゼル燃料を導入するなど、原油高騰のなかで、利用がひろがりをみせています。
石油消費量が世界第七位の韓国から参加したテジョン大学のキム・サンテェ教授は、ことし七月から国内で個人車両向けにもバイオディーゼル燃料の販売が始まることを紹介。
政府が、同燃料に減税措置をとることもあり、今後急速な普及が見込まれ、ナタネ油20%のバイオ燃料が将来期待を集めていると報告しました。
基調講演したのは静岡県トラック協会の西村登・環境対策委員長。同協会は、休耕田を使いナタネの委託栽培を始め、昨秋、大型車二台で、ナタネ油を加工した新燃料「なたねBDF」の走行試験を実施しました。
西村さんは、排ガスに含まれるスス・微粒子や窒素酸化物などの有害物質を大幅に削減できることがわかったと報告。「日本の遊休農地は百三十万ヘクタールもあり、いま菜の花の出番。国の方針として、軽油に代わるバイオディーゼル燃料を資源エネルギーとして位置付け、農地の再利用と新産業(雇用)を生み出すチャンスに」と訴えました。
川本実行委員長は、高松市内の「まちバス」がバイオディーゼル燃料で走行していることを紹介。バイオディーゼル燃料などの脱化石燃料の導入、公共交通での利用は二酸化炭素排出抑制対策のかぎとなっていると強調し、他の路線バスなどもバイオ燃料に切り替えることを働きかけ、個人・団体のネットワークの拡大をよびかけました。
同サミットは、琵琶湖の環境保護運動を契機にうまれた、使用済みてんぷら油などの資源リサイクル活用をめざす「菜の花プロジェクト」の一環で、ことしで六回目。
国・自治体関係者、企業、研究者、市民団体など約四百人が参加し、「二酸化炭素の増加を抑えるバイオディーゼル燃料が実用域に入りはじめている」と指摘し、バイオ燃料を非課税あつかいにすることや、普及のため品質規格制定などを国にもとめる「サミット宣言」をまとめました。