2006年5月14日(日)「しんぶん赤旗」

米軍基地建設で強制移住

島民の帰還認める

英高等法院


 【ロンドン=岡崎衆史】英高等法院(民事第一審)は十一日、米軍基地建設のため強制移住させられたインド洋の英領チャゴス諸島の元島民に対して、強制退去を違法とし、島への帰還を認める判決を出しました。島民側は「記念すべき日だ」と判決を歓迎。英政府側は控訴を検討しています。

 英国は一九六五年、当時植民地だったモーリシャスからチャゴス諸島を分離。そのうちの最大の島ディエゴガルシア島を英政府から借り受けた米国は全島を基地化しました。その際英政府は、米軍側の要求を受け、七三年までにチャゴス諸島全域の住民約二千人を強制移住させました。退去の際には、島民の子どもたちが死亡する惨事もありました。

 高等法院は二〇〇〇年十一月にも、強制退去を違法として帰還を認める判決を出しました。しかし英政府は〇四年、英女王が発した枢密院令で、判決を強引に覆して島民の帰還を禁じました。今回の判決はこれらの特例を無効とするものです。

 判決は、「英海外領土からの全住民の追放とそれを『領土の平和と秩序、公正な統治』のために行うという主張は受け入れられない」と述べ、政府の主張を退けました。

 裁判で島民側は、六十五ある島のうち最大のディエゴガルシア島が米軍基地として使用されているとしても、それが帰還を禁ずる理由にはならないと訴えました。

 ディエゴガルシア島の基地は、イラクやアフガニスタンへの米爆撃機の出撃基地として使用されました。

 現在、元島民とその子孫約四千人が、モーリシャス、セーシェル、英国に居住。判決を受け、島民側はできるだけ早い時期の帰還を目指しています。米国側は、安全性の問題を挙げて帰還に反対しています。


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