2006年5月10日(水)「しんぶん赤旗」

演説で「対テロ戦争」言え

米大統領、各省庁に指示


 「日本との貿易についてお話しする前にふれておきたいのは…イラクです」―ブッシュ米大統領はこのほど各省庁の長官に対し、演説では必ずイラク、対テロにふれるよう指示。それを受けて米農務省でも、冒頭に紹介したような具体例を列挙した電子メールを関係者に送りました。

 八日付の米紙ワシントン・ポストが紹介したもの。同省のスピーチライター、へザー・ボーン氏が送った電子メールは三ページにわたって「イラクと農業」、「大統領の戦略」、「農務省がイラクでやっていること」などの項目ごとに、「発言のポイント」を紹介しています。

 いずれもジョハンズ農務長官ら幹部がすでに演説で使ったものだといいます。

 その一つは、「イラクはメソポタミアの『肥沃(ひよく)な三日月』にあります。まさにそこが、紀元前八五〇〇年から八〇〇〇年ごろに人類が小麦を栽培した場所であり、農業が誕生した場所なのです」というものです。農政に関心をもつ聴衆に、イラク問題にも目を向けさせようと「工夫」したあとがうかがえます。

 メールは、こうした実例を使った結果を毎週報告することも指示しています。イラク問題で支持が下がる一方の世論対策に頭を悩ますなか、あらゆる機会を通じて、イラクでの「成功」を強調したいというブッシュ政権の苦しい立場がうかがえます。(ワシントン=山崎伸治)


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