2006年5月10日(水)「しんぶん赤旗」
教育基本法改悪案
教育法学会が批判
「違憲性強い、廃案を」
政府が今国会に提出した教育基本法の改悪案について日本教育法学会の教育基本法研究特別委員会(委員長・成嶋隆新潟大教授)は九日、教育の自主性を保障した現行法を百八十度転換して権力統制を正当化するなど「極めて違憲性の強い改正法案」であり、「廃案にするべきだ」との見解を発表しました。
同特別委員会は二〇〇一年に設置され、教育基本法「改正」問題について検討をしてきました。改悪案が国会に提出されたのを機に、各条文ごとに検討し、その結果を六十四ページにわたる冊子にまとめたもの。
改悪案の特徴として(1)教育の自主性を保障するという基本精神を転換し権力統制を正当化(2)国家が定めた道徳を強制(3)競争と格差を是認する学校教育制度をつくる―などの問題点を指摘。説得的な改正理由は依然として示されていないとしています。
発表に際して記者会見した教育法学会の堀尾輝久前会長(東京大名誉教授)は改悪案について「教育を人権としてとらえた現行法から、国民統制の手段に変質する危険性をはらんでいる」と批判しました。獨協大学の市川須美子教授は、改悪案が「国を愛する態度」を教育の目標としていることについて、「日の丸・君が代」への態度も目標に照らして評価されることになると指摘。思想・信条の自由を侵す危険性を訴えました。
冊子は五月下旬に母と子社から刊行予定。