2006年5月9日(火)「しんぶん赤旗」

医療改悪法案 町村会長・医師会長ら不安

住民の健康悪化

国の責任を転嫁

地方公聴会


 衆院厚生労働委員会は八日、医療改悪法案の地方公聴会を福島、福岡両市で開きました。公述人からは、「地方いじめ、弱い者いじめと感じられる方向になってきている」など政府の医療政策への不安と批判の声が出されました。


福岡市

 福岡市では、山本文男・全国町村会長(福岡県添田町長)、横倉義武・福岡県医師会会長らが公述しました。

 横倉氏は「法案は公平・公正で良質な医療の確保という点から問題がある」と指摘。「患者の自己負担の増加や公的医療保険給付の縮小を伴う混合診療は導入すべきでない」と述べ、反対の姿勢を強調しました。

 病院院長をしている中山眞一氏は療養病床の削減について「福岡には過疎地域や旧産炭地があり、そこでは独居老人など在宅医療が受けられない高齢者も多数いる」と指摘。「このままでは『介護難民』『医療難民』が生まれかねない」と懸念を表明しました。

 山本会長は、新たな高齢者医療制度を評価する一方、「高齢者の限られた年金収入では保険料の未納などのリスクがうまれる。財源確保について国、県も責任を負担すべきだ」と話しました。

福島市

 「これまでの国の責任を市町村に転嫁するものだ。国、県のかかわり、財政責任も明らかにしてほしい」。福島市の公聴会で、菅野典雄・福島県町村会長(飯舘村長)は、七十五歳以上対象の新たな高齢者医療制度について「方向としては分かる」と法案に理解を示しつつも不満を表明しました。

 「医師不足、看護師不足で、国民の命の安全は崩壊する」と強い懸念を述べたのは、高谷雄三・福島県医師会副会長。介護型療養病床の廃止について「二階に上げて、はしごをはずすようなやり方だ」と批判しました。

 佐藤力・国見町長は、「医療費抑制という観点からの医療制度『改革』は、私たち地方の自治体にとっては、町民の健康悪化、医療費の増大、自治体病院の経営悪化の悪循環に陥るような気がしてならない」と発言。患者負担増の医療改悪法案を批判しました。


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