2006年5月4日(木)「しんぶん赤旗」
談合企業の入札排除で
税金130億円“節約”
落札率8ポイント下がる
防衛施設庁が、同庁発注工事をめぐる官製談合事件に関与した疑いのある企業を排除して入札した結果、平均落札率(予定価格に対する落札額の割合)が8ポイント下がり、約百三十億円の税金が“節約”できたことが、三日までにわかりました。
防衛施設庁
同庁は、事件の影響で一月から入札を中断。東京地検の捜査で談合があったとされた米軍岩国基地滑走路移転の地盤改良工事など十件の工事の入札に参加したゼネコンと、二〇〇二年以降に同庁ОBが在籍している業者の計百八十一社を排除し、三月三日以降、〇五年度分の残りの入札を実施しました。
同庁のまとめによると、六百六件のうち、入札が成立したのは四百八十四件。随意契約などを含む全体の平均落札率は86・5%で、〇四年度の第四下半期の94・5%と比べ、8ポイント下がりました。米軍横須賀基地の設備工事がもっとも落札率が低い36・9%でした。
二〇〇〇年度から〇四年度までの五年間の平均落札率(95・9%)に比べると、10ポイント近くも下がったことになります。
落札案件の予定価格の合計額は九百四十二億円、落札額の合計は七百六十七億円で、その比率は81・4%。同庁によると、〇四年度の比率は95・2%で、仮に〇五年度も同様とした場合、約百三十億円も“節約”できた計算になるといいます。
一方、四百八十四件のうち、一般競争入札は、談合の舞台となった米軍岩国基地の関連工事、同佐世保基地の岸壁工事など十五件でした。平均落札率は74・6%。〇四年度の第四下半期の97・1%と比べ、22ポイント以上も下がっています。
防衛施設庁の一連の官製談合事件では、鹿島、大林組、清水建設、五洋建設などのゼネコン、マリコン(海洋土木)八社が略式起訴されていますが、略式起訴の対象となった土木建築工事の落札率は95・7%―99・2%です。いかにゼネコンなどの談合が工事費をつりあげ、税金を無駄遣いしているかが、今回の防衛施設庁のまとめでも浮かび上がりました。
談合企業の排除 共産党が求める
談合関与企業を入札から排除することは、日本共産党の佐々木憲昭議員が三月二日の衆院予算委員会で、政府の姿勢をただしたことが反映しました。
同議員は、被疑事実になっている二〇〇三年度分の岩国基地滑走路移設中央地区地盤改良工事を落札した鹿島などの共同企業体(JV)が、〇四年度の同工事も落札していることを示し、「〇三年度の工事で談合が明確になれば、その前後の年度の工事についても談合の疑いが濃厚だ」と指摘。「三月中に行われる工事契約については、一連の談合事件で共謀したとされるゼネコンを入札から排除すべきだ」と求めました。
額賀福志郎防衛庁長官は、「これから仕事をさせていくうえで、疑惑の企業については国民の目から見て疑いのないように公明正大に対応策をとりたい」と答弁。翌三日、防衛庁は、〇五年度の未発注工事については、談合した疑いのある企業を新規契約から排除すると発表したのです。
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