2006年5月3日(水)「しんぶん赤旗」

若者雇用策で国民の批判

仏首相に辞任圧力

大統領選めぐる醜聞が追い打ち


 【パリ=浅田信幸】若者雇用策で国民的な批判を浴びたフランスのドビルパン首相が政治スキャンダルの追い打ちを受け窮地に陥っています。シラク大統領の名前も取りざたされ、「政権の危機」の様相を帯び始めました。


 スキャンダルの背景にあるのは、来年の大統領選に向けてライバル関係にある大統領・首相と、サルコジ内相(与党「国民運動連合」党首)の対立。国民は「骨肉の争い」の醜悪さにあきれ、首相辞任要求から大統領選の繰り上げ実施を主張する声も上がるようになっています。

 スキャンダルの発端は二〇〇四年の春、不正資金の疑惑でルクセンブルクの金融会社を捜査していた予審判事のもとに届いた二通の「密告」。その一つに、同社に秘密口座を持つ政治家としてサルコジ氏の名前がありました。密告が偽情報であったことは同年秋には判明しましたが、防ちょう機関・国土保安局(DST)に捜査を命じた当時の内相ドビルパン氏は、事実無根であったことをすぐには明らかにしませんでした。

 大統領選出馬を妨害するために仕組まれた謀略だと考えたサルコジ氏は、密告事件そのものにドビルパン氏が関与したとの疑いを抱いたといわれます。昨年五月に内相に復帰したサルコジ氏は事件の洗い直しにとりかかり、今年一月には相手不詳のまま名誉棄損で提訴しました。

 ドビルパン首相は関与を否定しています。そのさなかの四月末にルモンド紙が、密告事件の数カ月前の〇四年一月に当時外相のドビルパン氏から「大統領の指示で」サルコジ氏の捜査を命じられたというDST幹部の証言を暴露。政界を揺るがすスキャンダルに発展しました。

 大統領と首相は直ちにDST幹部の証言を強く否定する談話を発表。しかし最高権力者が政敵の失脚を狙って権力機関を利用したとの疑いは膨らむ一方です。若者雇用策の失敗で支持率急落中の大統領と首相にとって致命的な打撃となりかねない情勢です。


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