2006年5月1日(月)「しんぶん赤旗」

戦争はもうたくさん

声一つに

ニューヨーク大行進


 四月二十九日、ニューヨークで行われた大行進に全米から集まった三十五万の人たちは、米軍のイラク撤退だけでなく、イランへの攻撃反対、移民や労働者の権利擁護、核兵器廃絶、地球環境の保全、ハリケーン被災者支援など、多様な要求を持ち寄り、声を一つにしました。(ニューヨーク=山崎伸治)


写真

(写真)ニューヨークのブロードウェーを埋め尽くした35万人の大行進=29日(山崎伸治撮影)

 行進の先頭に立ったのはイラク帰還兵の人たちでした。「反戦イラク退役軍人会」のマイケル・ハーモンさん(23)は「私たちの声を聞いてほしくてここに来ました。もうこれ以上、兵士を死なせたくはありません。いますぐ兵士を撤退させてほしい」と訴えます。前日に同会に加わったばかりというジョエル・エングルさん(23)はイラクで失った同僚の名前を背中に張って行進しました。

知らされてない

 マサチューセッツ州のアルブス一家は四人で参加。妻のクリスティーンさん(48)が「海兵隊員の息子のイラク派兵は三度目です。こんな不正義の戦争のために、死んでほしくはありません」と言うと、夫のクリスさん(41)は「このまま戦争が続けば徴兵制しかなくなります」と真顔で訴えました。

 多くの退役軍人の中に、八十歳を超える第二次世界大戦の経験者がいました。ルー・イズメイさんは欧州戦線でドイツ軍と、エド・ブロックさんは太平洋戦線で日本軍とたたかいました。「戦争はもうたくさん。米国民には戦争のことがきちんと知らされていません。世界は変わるべき時を迎えています」とそろって行進しました。

 「これだけの人が戦争反対のために集まって、パワーを感じます」と言うのは加藤祥江さん(29)。米国に来て二年、ドメスティック・バイオレンス問題にとりくむ非営利組織(NPO)で活動しています。「なぜ戦争が終わらないのかと思いますが、行進の一員になることで、暴力をなくすために何かできればと思います」

労組が呼びかけ

 今回の大行進は、米国の百十二の労組で構成する「米国反戦労働組合」(USLAW)が呼びかけに加わりました。労働組合の人たちも多数参加しました。

 昨年結成された新しいナショナル・センター「勝利のための変革」に参加する繊維・ホテル関係労組(ユナイト・ヒア)のキャロル・ピットマンさん(55)は、「米国は国内でハリケーン・カトリーナや失業、ガソリン価格の高騰などの問題を抱えています。イラクのことはイラクの人たちに任せて、米政府はこうした問題を解決すべきです」と語りました。

 進歩的な労組、全米電気通信機械労組(UE)も四十人の代表を派遣。コネティカット州のデイブ・ラズロさん(55)は「この国の政治や経済状況を変えるためには、大企業の悪を追い払わないといけません」と強調しました。

移民問題も掲げ

 移民の問題を掲げて参加した人たちもいます。自身もフィリピンからの移民というバーナ・エロリンさんは、移民の権利擁護を掲げる組織で活動しています。「戦争と移民の問題は結びついています。国内で移民の権利をじゅうりんすることは、国外で他国をじゅうりんしていることの反映です」と行進に参加した理由を語りました。


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