2006年4月28日(金)「しんぶん赤旗」

主張

3兆円負担

米戦争政策の支援は許さない


 ローレス米国防副次官は、グアム基地建設費をふくむ在日米軍再編経費総額が約三百億ドル以上にのぼり、そのうち日本負担は二百六十億ドル(約三兆円)だといいました。政府は、日米防衛首脳会談で、総額百二・七億ドルのグアム基地建設費のうち六割にあたる六十・九億ドル(約七千億円)を日本が負担することに合意しました。しかも、この二百六十億ドルも、「控えめな試算」(ローレス副次官)であり、これから先どれだけ膨らむのかわかりません。

 小泉「改革」で国民を痛めつけた上、さらに追い打ちをかけるような政府の態度は許せません。

日米同盟の大変質

 政府は、グアム基地建設費の負担も、国内の基地再編経費の負担も、すべて「基地負担の軽減」のためと正当化しています。

 しかし、これほど国民をあざむく議論はありません。実際は、小泉首相がグアム移転費の巨額負担受け入れについて、「米国も喜んでいる」(「毎日」二十五日付)とのべたように、アメリカのためです。

 政府は、グアム移転費については、はじめから負担を前提にし、交渉してきました。この態度が米政府の基地建設費吊り上げを許し、日本負担を大きくしたのです。

 小泉政権の“対米忠誠心”をみてとった米政府は、当初の二十九億ドルから協議のたびに額を引きあげ、最終的に百二・七億ドルとし、その59%を日本に押し付けました。小泉政権はアメリカいいなりに、アメリカの「言い値」にこたえただけです。

 今回の米軍再編経費の負担、とくにグアム新基地建設費負担は、これまでの経費負担を一変させます。

 「思いやり予算」をふくむ在日米軍駐留経費は、米軍が「日本を守ってくれているから」を理由にしています。しかし、グアム基地は、ブッシュ政権が世界のどこでも迅速に戦争をしかけるための出撃拠点であって、日本防衛とさえまったく関係ありません。この負担にふみだすということは、日本防衛と無関係の、アメリカの世界戦略実施経費の負担にふみだすということになります。

 日米同盟を、米先制攻撃戦略を推進する同盟に大変質させ、そのための経費負担で「忠誠心」を示す小泉政権は、他のアメリカの同盟諸国と比べきわめて異常です。

 沖縄からの米海兵隊八千人のグアム移転が沖縄県民の痛みを軽減するという政府の言い分そのものもごまかしです。残る海兵隊一万人は、“殴りこみ部隊”の中核である地上戦闘部隊と航空部隊です。米軍犯罪の中心は残るのです。ヘリも減るわけではありません。

 キャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部に建設が計画されている新基地は、ヘリだけでなく最新鋭のオスプレイなどの固定翼機の基地となります。軍港つきの総合的軍事機能をもつ巨大基地は、住民の苦しみの新たな根源です。嘉手納基地も、米軍戦闘機と自衛隊戦闘機の共同使用で住民の痛みはなくなりません。

 沖縄県民をだしにすることは許されません。負担軽減をいうなら米軍基地の縮小・撤去しかありません。

生活守るたたかい

 世論調査では、グアム移転費負担だけでも、「納得できない」が78%です(三月二十一日付「朝日」)。それをはるかに上回る、アメリカの戦争政策のための巨額の税金投入に反対がつよいのは当然です。

 政府は、国民の批判にこたえ、道理のない米軍基地再編強化のための経費負担の合意を撤回すべきです。


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