2006年4月26日(水)「しんぶん赤旗」

主張

小泉政権5年

国民の手で終わらすことこそ


 自民党の小泉純一郎総裁が首相に就任し、公明党との連立で政権を発足させてから、二十六日で丸五年を迎えました。

 “自民党をぶっ壊す”と叫んで自民党総裁に当選した小泉氏。五年後のいま、小泉政権が壊したのは国民のくらしと平和であり、アジア近隣諸国との友好と信頼だったというのが現実です。

3つの異常膨らませて

 所得の格差が「広がっている」と感じている人が87%(「東京」三月十九日付)、小泉内閣の構造改革で「社会の格差が広がった」は59%(「読売」十九日付)、いまの日中関係は「良好だと思う」はわずか7%(外務省調査)、米軍再編にたいしては沖縄でも岩国でも座間でも住民の大多数が反対している――どの結果を見ても、小泉政治への国民の批判の広がりが見てとれます。

 外交でも内政でも、自民党政治の行き詰まりは深刻の度を増しています。根底には、小泉政権が過去の侵略戦争の正当化でも、アメリカいいなり政治でも、極端な大企業中心主義でも、自民党政治の異常を極端に膨れ上がらせたことがあります。

 とりわけ深刻なのは経済格差と貧困の拡大です。国会論戦でもマスメディアでも、格差問題は最大の焦点になってきました。

 小泉首相や竹中総務相は「格差と小泉改革は関係ない」と打ち消しに躍起です。しかし「構造改革」の名ですすめてきた、非正規雇用の拡大、社会保障の破壊、大企業減税の一方での庶民大増税という異常な大企業中心の政治が原因であることは明白です。いいのがれは通用しません。

 小泉首相が内外の批判を押し切って就任以来五回にわたり強行してきた靖国神社参拝が、中国や韓国との関係悪化の原因となったことも議論の余地がありません。最近ではアメリカや欧州からも日本の孤立を懸念する声が相次いでいます。

 小泉政権は、発足直後に起きたアメリカでの「同時テロ」をきっかけに、アフガニスタンやイラクでアメリカが起こした戦争を支援してきました。それどころか海外でアメリカと一緒に戦争をするために、在日米軍の「再編」や米軍と自衛隊の軍事一体化を推進し、改憲準備をすすめています。異常なアメリカいいなり政治の矛盾もいよいよ深刻です。

 小泉政権は米海兵隊のグアム移転経費として六十億ドルを超す巨額の負担を受け入れ、最終合意を急いでいます。しかし、たとえアメリカとは合意できても、国民の反発は収まりません。

 本紙(十五日付)に登場した米カリフォルニア大学名誉教授のチャルマス・ジョンソン氏は米軍再編について、「米国は日本全体を沖縄のように扱って」いると批判し、「これは米国の立場からいうと決定的なミス」「日本の政権党にとっても政治的危機」だと指摘しました。異常な政治を続けることはできません。

国民の包囲で審判を

 くらしの問題でも平和の問題でも、三つの異常を極端にまですすめた小泉政権に、もう政権をつづけさせることができないというのは政権丸五年を迎えた国民の実感です。

 小泉政治を転換するうえで、「ポスト小泉」といわれる自民党内の勢力にも、小泉政権との「対立軸」の足場を示すことができない民主党にも、期待できるものはありません。

 古い枠組みの自民党政治を終わらせ新しい政治を切り開くには、国民の手で小泉政権を包囲し審判を下すことです。そのための国民的な連帯を広げることがますます大事です。


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