2006年4月25日(火)「しんぶん赤旗」

主張

沖縄・岩国選挙

住民の審判を重く受け止めよ


 在日米軍の再編が焦点となった、沖縄県沖縄市と山口県岩国市の市長選で、いずれも基地強化に反対した候補が、自民・公明の与党が押した候補を破って当選しました。

 政府は米軍再編で地元住民が下した審判を重く受け止めるべきです。軍事は国の「専管事項」などといって、地方の意思を無視してアメリカとの合意を国民に押し付ける態度を根本から改めるべきです。

横暴政治への批判

 沖縄市は嘉手納基地に隣接しており、市民は戦闘機の爆音、米軍犯罪などの基地被害で苦しむ毎日を強いられています。米軍再編は、この基地による痛みを軽減するどころか、温存・増大させるものです。

 米軍のF15戦闘機の訓練を本土で「分散」するといっても、爆音被害がなくなるわけではありません。しかも、自衛隊のF15戦闘機が嘉手納基地を共同使用するため、基地による痛みは変わりません。市民が、米軍再編に反対する候補者を選んだのは当然のことです。

 日本共産党も推薦した東門美津子氏は、嘉手納基地の共同使用について、「機能強化になり認められない」ときっぱり主張しました。

 米軍キャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部での新基地建設計画についても、「辺野古沖であれ新沿岸案であれ反対」だと訴え、「基地の縮小撤去を求めるべきだ」と政府をきびしく批判しました。

 新基地は、名護市民だけでなく、県民だれもが受け入れることのできないものです。千八百メートルの滑走路、軍港も併せ持つ総合的な巨大基地は、先制攻撃戦争のさいの出撃拠点です。普天間基地の即時閉鎖・撤去を求める宜野湾市の伊波洋一市長が、「新たな基地負担だ」と批判したのは当然です。政府は、沖縄県民の「負担軽減」をだしにした米軍再編の押し付けはやめるべきです。

 岩国市と周辺七町村が合併して誕生した新しい岩国市の市長選では、安倍官房長官が選挙応援に入りてこ入れしたものの、69%もの市民が米空母艦載機部隊の岩国基地移駐絶対反対を訴える井原勝介前市長に投票しました。三月の住民投票での移駐反対票は、全有権者の51%。岩国市民は二回つづけて移駐ノーの審判を下しました。住民投票後も移駐受け入れの押しつけをやめないばかりか、日米両政府が普天間基地の空中給油機十二機の移駐を合意したことへの怒りが頂点に達したのです。

 井原氏は、地域振興予算の優遇配分をちらつかせる政府の誘いを拒絶し、「市民の安心、安全を振興策の引き換えにはできない。移転撤回が民意だ」と民意重視を明確にしました。選挙後、「移駐計画の撤回を求めて政府と交渉する」といっています。政府は、訴えを真摯(しんし)に受け止めるべきです。

 基地再編に関係する自治体・住民はどこでも反対の声をつよめています。痛みのたらい回しにすぎない米軍再編を、自治体・住民の頭越しですすめ、合意を一方的に押し付ける小泉流の横暴なやり方は通用しなくなっているのはあきらかです。

基地強化はやめよ

 こうした住民の審判を踏まえれば、米軍再編の「最終合意」を結ぶなどあってはならないことです。額賀防衛庁長官は、グアム基地予算百二億七千万ドルのうち、59%六十億九千万ドル(約七千百億円)の日本負担に応じました。とんでもない話です。

 基地機能の強化と基地の恒久化は民意に反します。米軍再編を強行することは絶対に許されません。


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