2006年4月24日(月)「しんぶん赤旗」
ゆうPress
平和の風吹け
高知・1万人イベント成功へメンバーに聞く
「きてくれる人が一万人に広がったら、すごい平和の風になる―」。高知県の青年・学生たちが、一万人規模の集いを成功させようと一生懸命です。集いは、音楽を中心に平和を考える「平和に生きる Peace alive(ピース・アライブ)」。主催する「あなたから平和の風を wind of peace」(約七十人)のメンバーに聞きました。(藤原義一)
年齢を問わずざっくばらん
午前の舞台の司会をする内村瞳さん(28)=学校職員=は、劇団、バンドなどに入っています。平和運動に熱心な祖母の影響を受け「平和の風」のメンバーになりました。
「『平和の風』は、何でも質問しあえる場で雰囲気がいい。ここは年齢、性別を問わず、みんながみんなのスタイルで、ざっくばらんに話し合える私の貴重な学習の場です」
peaceを侵すのが戦争
内村さんと一緒に司会をつとめる宮川真幸さん(25)=教師、「平和の風」代表=。今年、県下や北海道の戦争中の朝鮮人強制労働の実態を調べるフィールドワークに参加。アメリカのビキニ水爆実験の県下の被災者たちからの聞き取りにも加わりました。「過去の戦争のことを知っていくうちに、いろんなことがつながっていて、戦後六十年を生きている自分が見えてきました」
そうした思いを伝えるのが、今回の集いだといいます。
「一人ひとりのPeaceを侵すのが戦争だと思います。たくさんの犠牲の上につくられた平和のための憲法第九条を変えられたら、過去の過ちにたいする感覚を失っていくことになる」
loveから憲法を考えて
「I love 九条」のブースの責任者、松繁悦子さん(23)=「平和の風」副代表=。「会場でメッセージカードを配り、それぞれの『I love』を書いてもらいたいと思っています。自分の思いから憲法を身近に考えてもらえればと思っています」
県下本山町での小・中学校時代、月に何回もアメリカ軍の戦闘機が校舎の上を低空飛行してきました。「パイロットの顔が見えました。見ながら戦争の時代を想像していました」。高校3年生から平和委員会の会員に。いま「ぽっぽ(高知県平和委員会青年委員会)」の会長でもあります。
前代表と合作Tシャツ販売
安部文章(あべ・ふみあき)さん(21)=高知大学三年生、「平和の風」副代表=。集いのポスター、ビラをデザインしました。三月から韓国の大学に留学している「平和の風」前代表の植田二郎さん(23)と一緒に。データをメールで送り合っての合作でした。
植田さんは、「Peace alive」用のTシャツの図案を三種類送ってきました。そのうちの一つは「日本国憲法第九条」の「9」と戦争をいやという思いを組み合わせた図案。その図案でつくるTシャツは、スタッフが着用し、会場でも販売することになりました。
ポスターは高知市の繁華街の各店の店先に張り出されています。青年たちの、いろいろな思いを込めた「Peace alive」が、もうすぐ開催されます。
韓国に行って「ショック」で
「東アジアを考える」のブースの責任者、日渡(ひわたし)あゆみさん(21)=高知大学4年生、「平和の風」副代表=。この3月、1人で韓国にいって元日本軍性奴隷の女性たちと語り合い、日本の侵略戦争の実態を示す博物館にもいきました。「見てショックを受け、いたたまれない感じでした」
考えたことは「戦前の日本人の中に、自分たちは優れていて、ほかの国の人を同じ人間として見ない感覚があったのではないか。そういう教育を受けた人たちも犠牲者だったのではないだろうか」と、いうことでした。
「あなたから平和の風を wind of peace」 昨年七月、十五人で発足。「どうやったら平和な世の中にできるか、幸せな暮らしをつくれるかを普通に考えあう空間」です。十代、二十代が中心。十一月、イラク支援ボランティアの高遠菜穂子さんを迎えた講演会を高知市で開きました(約九百人参加)。その後も毎週、平和についての勉強会や話し合いを続けています。連絡先は、高知市の平和資料館草の家、電話088(875)1275。
「平和に生きる Peace alive」 四月三十日(午前十時から午後五時半)、高知市中央公園で開催。
舞台は二十組が出演。ライブやブレイクダンス、高知市のよさこい鳴子踊りなどの七時間半です。それぞれ違ったライフスタイル、表現形式を持つ音楽が一つの舞台で大きな流れをつくります。
舞台の周りには平和を考えるブース(テント)での展示が五つ(「アメリカのイラク戦争と日本の加担」など)。会場の周辺で、日本国憲法第九条を変えるのに賛成か、反対かのシール投票もやります。食べ物、飲み物、フリーマーケットなどの出店が二十一店あります。
お悩みHunter
「辞めて」と言われた私は働き続けたいが
Q技術職正社員として採用されて一年余り。研究開発部門に配置されていますが、会社から「辞めてほしい」と言われました。理由は、私に上司への連絡ミスがあったことや、一年たっても期待した仕事ができていないことだと言われました。部署を変わってもいいから働き続けたいと思っています。辞めなければいけないのでしょうか?(28歳、男性)
まず「辞めません」とはっきり
A自分のミスや能力不足を理由に退職強要されるのはつらいことですね。
まず重要なのは、「辞めてほしい」というのは、使用者があなたに退職のお願いをしているにすぎませんから、当然断ることができます。退職するつもりがなければ、はっきり「辞めません」といいましょう。にもかかわらず、「クビだ」と言われたら解雇されたことになります。
しかし、使用者は客観的に合理的な理由がなければ解雇はできません(労働基準法第十八条の二)。
「客観的合理的理由」がある場合とは、例えば、あなたの「連絡ミス」が現実に会社に大きな損害を与えた場合などをいいます。「会社が期待した仕事ができない」という「主観的な期待」を理由に解雇することは許されないということです。
また、勤務成績の判定が相対評価とされている場合、評価が低い者は常に存在します。ですから、単に相対評価が低いというだけでは解雇理由にはあたらないとする裁判例もあります。さらに、たとえ能力や適性に問題があっても、教育訓練や本人の能力に合った配置転換をするなどの解雇を避ける措置をつくすことが必要です。
あなたの場合、研修や配置転換の申し入れなども含め、会社とよく話し合ってはどうでしょう。個人加盟できる労働組合に加入して団体交渉することも有効です。
弁護士 岸 松江さん
東京弁護士会所属、東京法律事務所勤務。派遣CADオペレーター、新聞記者などを経て弁護士に。好きな言葉は「真実の力」。