2006年4月22日(土)「しんぶん赤旗」
主張
米軍基地再編協議
民意無視の「決着」を許さない
在日米軍再編問題で政府は、額賀防衛庁長官を訪米させグアム移転費負担の政治決着をはかるとともに、二十四日からの審議官級協議で協議の実質的合意をもくろんでいます。
現状は、米軍基地再編、米軍と自衛隊の軍事一体化、米軍再編経費の負担問題のどれをとっても、国民の反発はつよくなる一方です。これだけ大きな民意を無視して、米軍再編の「最終合意」につきすすむなど絶対に許されません。
地方自治は憲法原則
政府は、アメリカ政府の米軍再編要求を実現させるため、自治体にたいして再編受け入れをせまってきました。しかし、どこでも自治体と住民は、生活の平穏と安全のため拒否をつらぬいています。
山口県岩国市が三月に実施した住民投票は、投票総数の89%が米空母艦載機部隊(戦闘機など五十七機と兵員約千六百人)の米軍岩国基地(岩国市)への移駐に反対しました。小泉首相は、岩国市の全有権者の51%を超えるこの結果を尊重するどころか「どこでも住民投票をすれば反対でしょうね」とのべるだけで、頭から無視しました。その上、岩国基地に普天間基地(沖縄県宜野湾市)の空中給油機(十二機)など十四機を移駐させることまで日米合意しました。自治体・住民の痛み軽減は口さきだけです。
神奈川県座間市と相模原市は、米軍キャンプ座間(神奈川県座間市、相模原市)への米陸軍戦闘司令部の移転に一貫して反対しています。座間市では市民の47%にあたる約六万人が、相模原市では34%にあたる約二十一万人が反対署名をしました。
三市の市長は市民の声をしっかり受け止め、政府にくりかえし再編反対を申し入れています。
島袋沖縄県名護市長は、選挙公約に反し、米軍キャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部での新基地建設に合意しました。名護市民は一九九七年の住民投票で過半数が新基地建設に反対しました。今回の合意に県民の70%が反対です(琉球新報と沖縄テレビ放送の県民世論調査)。民意に反する合意は撤回すべきです。
自治体の長が住民の意思を尊重してこそ地方自治です。住民の意思に沿い、住民の利益を守ることに徹すべきです。
見過ごせないのは、小泉政権が地方自治をじゅうりんして米軍再編受け入れを地方に強制する姿勢を強めていることです。地方自治体がくりかえし反対といっているのに耳をかさず、「基地問題は国の専管事項」といって無理やり受け入れをせまっています。まるで、地方団体を国家行政に組み込み、戦争政策の手足にした戦前のやり方のようです。
憲法は戦前と違って、地方自治の原則を明記しています。地方を思い通りに動かそうとする小泉政権の横暴は許されることではありません。
憲法九条の発揚
小泉首相は、米軍が「日本の安全保障のための抑止力」といいます。
しかし、在日米軍は「日本防衛」でなく、「地域的、世界的な前進配備」(二〇〇四年八月ホワイトハウス「ファクトシート」)として日本に駐留しています。
米軍再編は、日本を先制攻撃戦争の足場にするのが眼目です。在日米軍基地は、日本の地域住民の生活と安全を脅かすと同時に、アジア・世界の平和を脅かす元凶です。
米軍駐留を絶対化し、基地の恒久化をねらう米軍再編に反対するのは、戦争を禁止した憲法九条をもつ国民として当然のことです。