2006年4月21日(金)「しんぶん赤旗」
「行革」関連法案
国民の安全・生活脅かす
衆院本会議 塩川議員の反対討論
二十日の衆院本会議で日本共産党の塩川鉄也議員が行った「行政改革」関連法案にたいする反対討論は次の通りです。
小泉総理が「改革」の総仕上げという今回の法案は、簡素で効率的な政府を口実に、国民の安全や暮らしを支える公務部門を縮小し、国の責任を放棄するものであり、断じて認められません。
法案は、国・地方の公務員の純減を掲げていますが、日本の公務部門は、政府も認めるように、主要国の中でも小さな政府であり、必要な役割が果たされていません。例えば、サービス残業や劣悪な労働条件を調べる労働基準監督官、大企業の横暴を規制する下請け代金検査官は明らかに不足しております。
地方公務員の分野でも、消防職員やケースワーカーなどは、国の基準を大きく下回っています。公務員の純減という数値目標は、こうした実態を無視するものです。さらに、教職員については、児童数の減少に見合う数を上回る縮減を求めることで、国民の要求である少人数学級の推進を停止させました。まさに、本法案は、国民の安全、教育、福祉の要求、願いを正面から踏みにじるものと言わざるを得ません。
また、労働福祉事業や失業給付にかかわる国庫負担の廃止、国立がんセンターなど国立高度医療センターの独立行政法人化なども、本来国が責任を負う分野から撤退をはかるものであり、容認できません。
第二に、「市場化テスト」などによる行政サービスの民間開放は、一部大企業へのビジネスチャンス拡大を目的とするものであり、国や地方自治体が、国民に保障してきた行政サービスの公平性や専門性などを後退させるものであります。しかも、開放の対象とされる業務に制限がなく、あらゆる行政サービスが、もうかるかどうかを最大の基準として、切り売りの対象となることも重大です。
第三に、政策金融改革と称して行われる、商工組合中央金庫の民営化、国民生活金融公庫などの統廃合は、中小企業に対する金融支援機能を後退させるものです。小泉「改革」のもとで、民間大銀行が、貸し渋り、貸しはがしによって中小企業を窮地に追いやったとき、まさに中小企業の命綱となったのは、国民生活金融公庫などの政策金融機関でした。それを民営化・統合し、さらに、融資残高も縮小させる本法案は、中小企業のセーフティーネットを破壊するものにほかなりません。日本経済を支える中小企業への支援機能の強化こそ行うべきです。
第四に、行政改革の喫緊の課題である政・官・業の癒着を断ち切る対策、天下り規制、談合防止、企業献金禁止などは何一つありません。さらに、公益法人制度「改革」については、まじめに公益のために活動する民間の非営利法人の活動抑制となる危険性が大きいという問題も指摘しなければなりません。
「官から民へ」「小さな政府」を掲げる「構造改革」路線のもとで、耐震強度偽装事件など、国民生活の安全を脅かす問題が次々に噴出し、格差の拡大や新たな貧困層の増大など、日本社会そのものの破壊が進行しています。
今回の「行革」法案は、こうした害悪をもたらした「構造改革」路線を、小泉内閣で終わりにするのではなく、将来にわたって継続させるものであり、断じて認めるわけにはいきません。さらに、消費税増税導入の地ならしにしようなどとんでもないことであります。日本共産党は、こうした小泉「改革」に対して、国民とともにたたかっていくことを表明して反対の討論とします。