2006年4月19日(水)「しんぶん赤旗」

インド州議会選挙

西ベンガル 左翼圧勝の勢い


 【ニューデリー=豊田栄光】革新州政権が続くインド東部の西ベンガル州で十七日、州議会選挙の投票が始まりました。同州での投票は地域別に五回にわたって実施され、五月十一日、一斉に開票されます。他にも、南部ケララ州やタミルナド州など三州と一つの連邦政府直轄地でも州議会選挙(いずれも五月十一日開票)が行われています。州議会選挙は五年に一度。世論調査では、西ベンガルとケララ両州でインド共産党(マルクス主義)=CPIM=を中軸とした左翼の躍進が予想されています。


ケララは政権奪還か

 西ベンガルは、一九七七年以来、左翼戦線が州政権を掌握しています。人口八千万人はインドの全二十八州で四位、人口比7・8%です。

「全階層の政党」 ヒンズー紙報道

 インドの英字紙ヒンズーなどの世論調査は、定数二百四十九議席(小選挙区制)中、左翼戦線は二百三十三―二百四十三議席と予想しています。二〇〇一年前回選挙では百九十九議席でした。

 所得階層ごとの左翼戦線の支持率をみると、貧困層55%、低所得層55%、中所得層55%、高所得層51%となっています。ヒンズー紙は、「全階層の政党となった“新しい左翼”が出現」と解説しています。

 CPIM政治局員のバタチャリー州首相は十二日、「私たちは西ベンガル州で社会主義を実践してはいない。資本主義の枠内で労働者のための政策を実施している。この競争時代に、私たちは労働者にも責任を求めている」と発言しました。

 同首相は外資導入にも積極的で、伝統がありながら赤字が続いていた州立ホテルの民営化も決定。「労働と資本の調和」を重視した政権運営を行ってきました。

 ケララ州では五年前に左翼民主戦線が州政権を失いました。今回の選挙で奪還なるかが焦点です。人口三千二百万人、全国で十二位、人口比は3・1%です。

 ヒンズー紙の世論調査は、定数百四十(小選挙区制)中、左翼民主戦線が九十三―百三(前回四十)と大幅な躍進を予想。シン首相の所属政党・国民会議派を中心とした統一民主戦線は三十九―四十五(同九十九)となっています。

新自由主義に反対していく力

 左翼諸党は中央では、現在のシン政権を閣外から支持しています。国民会議派を軸としたシン政権は、政権発足(〇四年五月)に合わせ、左翼諸党と「共通最小限政策」で合意しました。

 その中には、(1)解雇の自由という考えの拒否(2)民営化は透明かつ個別に相談しながら実施(3)特別の提案の前には労組と対話する―などの政策が書かれています。

 しかし、シン政権は解雇制限を緩和する労働法の改定を目指し、空港の民営化を強行するなど、現在では左翼と対立しています。

 CPIMのカラート書記長は十六日、「西ベンガル、ケララでの左翼の勝利は、国民が(シン政権の)政策変更を求めている証しとなり、われわれが新自由主義に反対していく力となる」と強調しました。

 CPIMは三月の中央委員会で、州議会選挙後に、シン政権との協力を再検討するとの方針を決定、閣外支持の解消も視野に入れています。


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