2006年4月18日(火)「しんぶん赤旗」

リハビリ日数に上限

現場は混乱 不安

4月から打ち切りも


診療報酬改定で

 二〇〇六年度診療報酬改定で、長期にわたるリハビリテーションの算定日数(期間)に制限をつけ、一定期間を過ぎると公的医療保険の適用外にしたことに、現場の混乱が続いています。

 厚生労働省は、今回の改定で、いままで期間制限のなかったリハビリについて、初めて上限を設定しました。「長期間にわたって効果が明らかでないリハビリテーションが行われている」という理由です。

通知遅れ誤りも

 厚労省は、期間算定の起点日を「四月一日から」とする通知を出しました。しかし、通知の発送が年度末ギリギリの三月二十八日にずれ込んだうえ、厚労省の出先である地方の社会保険事務局では、「起算日は発症日から」などの誤った説明がなされていたため、医療機関によっては「長期間患者のリハビリは、四月から保険適用外になる」と、打ち切りの方針を決めたところもありました。

 大分県国東市の田邉弘さん(64)は、十五年前に脳梗塞(こうそく)を発症して左半身まひになり、リハビリに通っていましたが、三月末に病院から「打ち切り」を宣告されました。

 脳血管疾患リハビリの場合、厚労省の通知だと、期間の上限は百八十日、算定の起点は四月一日です。本来ならば、四月以降も保険でリハビリを受けられるはずでした。

 田邉さんが厚労省通知のことをただすと、病院側は通知のことは認めましたが、「もう決めてしまった。元に戻して、リハビリを受けられるようにはできない」ということでした。

「半年後が心配」

 「半年後はどうなるか分からない」と岡山県倉敷市の男性(50)はいいます。十年前に脳血管疾患であるくも膜下出血を発症して左半身まひになり、リハビリに通っています。

 リハビリの期間は百八十日が上限で、四月一日から数えると、九月いっぱいまでです。それ以降も受けられるかどうか。厚生労働省は「継続的にリハビリテーションを行うことにより症状の回復が見込まれるものは、上限の適用除外」と表明していますが、患者の不安は広がっています。

 倉敷市の男性は、病院から「脳血管疾患のリハビリは(診療報酬の)点数が下げられて、採算がとれない」と言われました。「リハビリは廃止されてしまうのではないか。医療の大事な問題が、こういう形で決められてしまうことは恐ろしい」と話しています。

 史上最大の3・16%の下げ幅となった今回の診療報酬改定。「必要な医療」が容赦なく切り捨てられています。

 多田富雄・東京大名誉教授は、リハビリ患者の立場から「今回の改定は『障害が180日で回復しなかったら死ね』というのも同じことである」(「朝日」八日付)と批判しています。

表

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