2006年4月18日(火)「しんぶん赤旗」

主張

サラ金被害

氷山の一角ですませるな


 消費者金融大手のアイフルが貸金業規制法に違反していたとして、金融庁の業務停止処分を受けました。

 強引な取り立て、新規融資獲得のために偽造委任状で戸籍謄本を取得したなど、ヤミ金融(暴力団金融)ともかわらぬ悪質な手口は、とうてい許すことのできないものです。

悪質行為業界にまん延

 アイフルの悪質な取り立て行為について、被害者の救済に取り組んでいる弁護士は「この程度のことは業界にまん延している」と語ります。国民生活センターが三月にまとめた消費者金融問題のリポートでも、債務者の七割は「自宅への電話」、四割は「勤務先への電話」を経験しており、玄関先での大声など、脅迫的な取り立ても常態化しています。アイフルは「氷山の一角」です。

 そんな消費者金融が、まるで社会的な優良企業のように扱われています。サラ金利用者は二千万人、複数から借金を重ね「破産予備軍」とされる多重債務者は二百万人。サラ金が「市民権」を得る一方で、生活苦からサラ金にかけこむ人が増えていることに問題の深刻さがあります。

 子犬や若い女性をつかったコマーシャルで「すぐに金が出てくる便利な財布」のイメージをふりまき、無人店舗やATM網、コンビニでまで簡単に金を貸す―。

 「ご利用は計画的に」の言葉はただのおためごかしで、借りる人の返済能力などお構いなしに、多額の借金を押し付ける―。

 返済に困った人には、自宅や勤務先にまで督促の電話を入れ、家にあがりこんで怒声をあげ、近所の人たちにも見えるよう張り紙をし、家族や親せきにまで返済を求める―。

 私たちは、サラ金などの消費者金融は、生活困窮者に寄生する「社会の落とし穴」だととらえてきました。いま、本格的な規制強化で、これ以上のサラ金被害者を出さない対策が、緊急に求められています。

 事件を受け、一部のマスメディアは「消費者金融はかつて『サラ金地獄』といわれ社会問題化した時代とは様変わりしている」と甘い認識を示しました。大広告主への気遣いかと疑われてもしかたありません。

 異常な高金利を背景に、過剰な貸し付けと違法な取り立てで巨額の利益をあげ続けるという業界の体質は不変です。サラ金の社長が毎年高額納税者番付上位に居続けるのも、強引な経営があってのことです。

 日本共産党議員の国会質問に、小泉首相でさえ「高金利をむさぼっている業者に被害を受けないような対策を講じなければならない」と答えました。政府や与党は貸金業規制法の改正作業を始めています。サラ金業界が自民、公明、民主各党に資金攻勢をかけ、対策を骨抜きにしようとしていることも重大です。

根を絶つ高金利規制を

 サラ金は、たとえ焦げ付きがでても、少しでも多く貸した方がもうかるという無責任体質をもっています。それを支えるのは出資法の上限金利いっぱいの29・2%という異常な高金利です。

 出資法の上限金利と利息制限法の15―20%の上限金利の間は、グレーゾーン(灰色)といわれ、本来払う義務のない金利です。グレーゾーン金利はすぐに禁止すべきです。

 サラ金は大銀行から1―2%の低金利で資金を調達しています。独、仏では市場金利と連動した貸金業金利規制をおこなっています。上限金利規制をまともな水準に引き下げることで、サラ金・消費者金融を社会的に包囲することが重要です。


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