2006年4月16日(日)「しんぶん赤旗」
イラク派遣110番
除隊させたい でもできない
隊員の本音、家族が代弁
「すぐにでも自衛隊を辞めさせたい」「劣化ウラン弾の影響が心配」――。イラクに派遣された自衛官が帰国後に自殺するなどのケースが報じられたのを受け、弁護士らが十四、十五日に全国六カ所で実施した「イラク派遣自衛隊員・家族の何でも110番」に、深刻な相談が寄せられました。参加した弁護士は「派兵は、隊員の家庭などにも苦悩を引き起こしている」と指摘しました。
実施したのは、各地で派兵差し止め訴訟を担当する弁護士らでつくる「自衛隊イラク派兵差止訴訟全国弁護団連絡会議」(事務局長・佐藤博文弁護士)。相談はすべて自衛官の家族や知人、友人からで、「(イラクに)行かせない方法はないか」「行かなくても出世に影響しないようにするには」「精神的に変調をきたしたりしないか不安」などが主な内容でした。
北海道のある母親は「(イラクに)行かないと言うと、部隊の中でどんな目に遭うかわからないらしい」と話しました。
この母親の息子は自衛隊は違憲と考えていましたが、失業して入隊。現在は家庭を持っています。母親に「辞められるなら辞めたいが、家庭があるから部隊に文句は言えない。お母さんも自衛隊に文句を言ったりしないで」と口止めをしたといいます。
母親は「すぐにでも除隊させ、当分息子夫婦の面倒を見たいが、経済的にそれもできない」と訴えました。