2006年4月16日(日)「しんぶん赤旗」
6月に陸路貿易再開
進むインド・中国和解
インドと中国の間で、陸路の国境貿易が六月に再開されることになりました。インド北東部シッキム州と中国チベット自治区を結ぶルートです。一九六二年の国境紛争以来、六十四年ぶりの再開です。
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六二年の紛争後、両国間を直接往来する陸路の貿易ルートが開通するのは初めてで、両国がここ数年、進めてきた和解を象徴するものです。
市場を建設中
中国側の発表(六日)によると、中国は国境のヒマラヤ山脈ナトゥラ峠から十六キロ入ったチベット自治区洞青崗地区に市場を建設中です。ナトゥラ峠経由の印中貿易は、六二年の紛争以前は国境貿易全体の八割を占めていました。
市場は六月から週二回、四時間ずつ開業。同峠では税関業務も行われることになります。
国境協議も順調
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峠貿易再開の重要な転換点となったのは、二〇〇三年六月、インドのバジパイ首相(当時)の訪中でした。このとき両国は、「包括的協力宣言」と「国境貿易覚書」に署名しました。
両外交文書で両国は、シッキム州がインド領、チベットを中国領であることを明確にしました。シッキム州はもともと独立王国でしたが、インドは七五年、二十二番目の州として併合。中国はシッキムをチベットの一部と主張してきました。
国境貿易の再開は、現在行われている国境画定交渉にも良い影響を与えるものとみられます。〇五年四月には温家宝首相がインドを訪問、シン首相と会談し、国境線早期画定のための交渉指針で合意しました。今年三月には第七回交渉がインドで開催されています。
インド側責任者ナラヤナン国家安全保障顧問は交渉終了後、「私たちは行き詰まりから抜け出る努力をしている。あと二―三回の交渉で明確な枠組みができるだろう」と語りました。交渉は二―三カ月に一度のペースで開かれています。
今年三月、「中印友好の年」を記念して中国の李肇星外相は、「中国とインドはより良き両国関係を共に手を携え構築する。そして、アジアと世界の平和と安定、発展のために積極的に貢献していく」と述べました。
目標より早く
両国の貿易総額は二〇〇〇年には二十億ドルでしたが、毎年30%から40%の伸び率を記録しており、〇五年は百五十億ドルに急成長しています。
インドのナート商工相は「目標より一年早く、〇七年に二百億ドルを達成できる」と語っています。国境貿易再開は両国関係を改善、強化し、アジアの平和にも貢献することになるとみられます。(ニューデリー=豊田栄光 写真も)