2006年4月16日(日)「しんぶん赤旗」
普天間「返還」発表から10年
米軍居座り 爆音
移設でなく閉鎖こそ
米海兵隊普天間基地が中心部に居座る沖縄県宜野湾市。日米両政府が同基地を「五年ないし七年で返還する」と発表して十二日で十年がたちました。一昨年八月には同基地に隣接する大学に米軍大型輸送ヘリが墜落。「危険性の除去」は緊急の課題です。ところが米軍は市民の抗議の声を無視し、市街地上空での旋回飛行訓練を日常的に繰り返しています。
「5年〜7年」の約束どこに
今月十二日には、米海兵隊岩国基地所属のFA18戦闘攻撃機四機、AV8ハリアー垂直離着陸攻撃機四機が飛来し、普天間基地所属のヘリも途切れることなく訓練。沖縄県の騒音測定結果によれば、普天間中学校(新城地区)で午前四時六分から午後十一時二十六分までの間に百三十四回の騒音を記録し、最大で百六・八デシベルの“爆音”をまき散らしました。
この間、宜野湾市役所には「子どもが泣きはじめた」「怖くて子どもを風呂に入れられない」などの苦情が殺到。市は十三日午前、米海兵隊外交政策部(G5)に対し「地元の声を全く聞き入れない軍事優先の施策は、県民の大きな反発を招く」と抗議し、住宅地上空でのすべての飛行を停止するようファクスで要請しました。
日米両政府は普天間基地について、夜間の飛行規制や公共施設の上空の飛行を避けるなどの「騒音防止協定」を結んでいますが、普天間中学校では十一日から十三日の三日間だけでも三百三十九回の騒音を記録。“市街地上空の飛行を避ける”という約束は完全にほごにされています。
同市の伊波洋一市長は十四日、本紙の取材に「『普天間』で毎日のように繰り返されている住宅地上空での訓練や使用状況をみれば、V字形滑走路が(名護市の)住宅地域に被害をもたらさないという考えは間違っている」と指摘し、宜野湾市民の危険を名護市民に押し付けるのではなく、「県内移設によらない早期閉鎖と全面返還」を求めました。