2006年4月15日(土)「しんぶん赤旗」

沖縄新基地V字形案

ヘリ飛行経路

政府説明よりずっと内側


 政府・防衛庁と沖縄・名護市が合意したキャンプ・シュワブ沿岸部のV字形滑走路案の海上飛行経路が、“騒音軽減”イメージを先行させたごまかし案にすぎないことが明らかになりつつあります。(米田憲司)


 四月七日に防衛庁と名護市が合意したV字形の滑走路案にもとづく飛行経路は、固定翼機を中心にした計器飛行(ILF)による離陸、着陸経路とヘリによる有視界飛行(VLF)の経路が示されました。

 集落を避けるため、東側の海上に張り出した飛行経路は、西側の滑走路先端から五キロ、東側から同四・二キロほど沖合となっています。しかし、この飛行経路は現在、普天間基地に常駐しているT39作戦支援機級の経路で、ヘリならこんなに遠くまで飛行するのは不自然です。実際の飛行経路はもっと内側になります。

 航空評論家の青木謙知氏は「ヘリのパワーや搭載重量によって差はあるが、五百メートルもあれば十分離着陸ができる。燃料の節約にもつながる。従って、もっと周回経路は小さくなるはずだ」と指摘します。

経路は縦横無尽

 宜野湾市の普天間基地監視ボランティアが二〇〇四年二月二十七日から同三月三十一日まで米軍ヘリの飛行経路の調査をしていますが、大部分が緊急着陸訓練(オートローテーション)を含めた離着陸訓練のため、滑走路を中心とした周回経路となっていました。

 軍用機は基本的には有視界飛行のため、空港管制官の指示に従いながら離着陸を行います。ヘリの場合、離着陸経路は目的地や任務との関係で決まるため、飛行経路は縦横無尽です。さらに、風向きなどの気象条件が加味されるため、防衛庁の説明通りの経路は多数の飛行経路の一つにすぎません。

有事には作戦基地

 米軍基地は駐留基地だけでなく、有事の際には作戦基地に変ぼうします。元航空自衛隊のパイロットは「米軍は使いづらいV字形滑走路であっても、効率的な活用をするはず。離着陸を厳密に区別したり、海側だけを使用するとは考えられない。状況次第だ。安全上から陸上を飛行する訓練も行い、着陸を誘導するための陸上の目標物もいくつか決めて対応することになる。どのように決着するかは未定だが、運用を米軍まかせにしないことだ」と語っています。

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