2006年4月14日(金)「しんぶん赤旗」
耐震偽装見落とし イーホームズ
処分 まだなし
5カ月後も業務は続行 国交省は依頼主任せ
耐震強度偽装事件で、耐震構造計算書の偽造を見落とした国指定の民間確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区、藤田東吾社長)が、国交省の偽装問題公表(昨年十一月十七日)から五カ月近くを経ながら、いまだに行政処分されず、確認検査業務を続けていることが明らかになりました。
イーホームズは、姉歯秀次元一級建築士が偽造した構造計算書の審査で、三十七棟もの偽装を見落としていたことが判明しています。同社を同月二十四、二十五の両日に立ち入り検査した国交省は、姉歯元一級建築士の書類を「実質的な審査を行っていなかった」と指摘しました。
ところが国交省は、現在にいたっても検査機関指定取り消しなどの処分を実施していません。処分が遅れている理由について同省住宅局建築指導課の担当者は「次々と偽造が明らかになってきたので、全容が判明するまで処分は決められなかった」などとしています。
問題のある検査機関に引き続き検査をまかせている是非について本紙がただすと「そういうところには、どこも頼まないだろう」(担当者)と、依頼主側まかせの認識を示しました。
イーホームズは、偽造問題発覚後も検査業務を自粛していません。本紙は、同社が審査して昨年十二月十三日に建築確認したマンションが建築中であることを東京・渋谷区千駄ケ谷で確認しました。
同社広報担当者は、「検査業務は続けている」と認め、件数については「上場企業でないので公開しない」としました。国交省からは、「昨年十一月の立ち入り調査以降、とくに処分についての話はない」といいます。
国交省は現在、指定確認機関の処分基準について検討中です。そのための「パブリックコメント」(政省令などの案を公表し国民から意見を求める)の募集期間が三月三十一日から四月三十日までになっています。イーホームズの処分も「それをもとに検討するので、時期は未定」(担当者)としています。