2006年4月14日(金)「しんぶん赤旗」
V字形でも大騒音
沖縄新基地 試験飛行で測定
集落は「地下鉄の中」
額賀福志郎防衛庁長官と島袋吉和名護市長が「合意」した米海兵隊普天間基地に代わる名護市辺野古沿岸部につくる新基地計画。滑走路を着陸と離陸用に二本建設すること(V字形滑走路)で辺野古など集落上空の「飛行ルートを回避した」との“安全宣言”とは裏腹に飛行コースの周辺地では「地下鉄の中」「幹線道路沿い並み」の騒音にさらされかねないことが本紙が入手した防衛施設庁の資料でわかりました。
防衛施設庁資料で判明
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資料は那覇防衛施設局が二〇〇一年三月十日、名護市辺野古沖の海上基地づくりのため、同沖合で実施した米軍ヘリによる試験飛行(デモフライト)の騒音測定記録です。
試験飛行は米軍普天間基地の海兵隊大型ヘリ(CH53)四機で実施、那覇防衛施設局が騒音測定しました。
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米軍ヘリは辺野古集落の中心から一・一キロ、一・四キロ、二キロ、三キロのコースで飛行。同集落など十五カ所に測定器を設置しました。
結果は深刻でした。住宅地で最高六〇デシベル以下(昼間)、道路に面した地域で六五デシベル以下という環境基準をはるかに上まわる騒音を多くの地点で記録したのです。
沖合一キロコースで七一―八三デシベルが六カ所、一・四キロコースでも七六―八三デシベルが四カ所、二キロコースでも七二―七七デシベルが四カ所といった具合です。
八〇―八五デシベルは「地下鉄の中」「交通量の多い幹線道路並み」で、七五―八〇デシベルは「電話のベル」「騒々しい事務所の中」のうるささです。
合意案では「滑走路の向きを反時計回りに18度程度傾ける」(「琉球新報」八日付)とされています。
米軍ヘリなどの騒音がさらに遠ざけられる、との印象があります。
しかし仮に同程度に滑走路が傾けられても滑走路延長線から辺野古集落までの距離は推定一キロ程度しかありません。試験飛行はまさにこの一キロから三キロ沖合での飛行であり騒音値は予測値ではなく実測値です。
試験飛行記録は、額賀防衛庁長官と島袋名護市長が「合意」した沿岸案の問題性と危険性を浮き彫りにしています。