2006年4月11日(火)「しんぶん赤旗」
若者解雇策を撤回
青年・労働者「運動の勝利」
仏大統領
【ローマ=浅田信幸】フランスのシラク大統領は十日、ドビルパン首相との会談後、若者の解雇を容易にするとして強い反対運動が起きていた新雇用策「初採用契約(CPE)」の撤回を発表しました。大統領は声明で、CPEを「困難にある若者の就職を助ける規定」に「置き換える」決意をしたと表明しました。
反対運動の一翼を担ってきた全国高校生連合(UNL)のステケル委員長は、「歴史的な反対運動による歴史的な勝利だ」と評価。また最有力労組である労働総同盟(CGT)のデュマ全国書記も、CPE撤回は「労働者と学生・高校生の一致した行動と労組の統一による成功」だと歓迎しました。
一方、ドビルパン首相は大統領との会談後の記者会見で「青年の側でも企業の側でもCPE実施のための条件が整わなかった」とし、今後の自身の責任は「国民全員が前進」できるよう「わが国の未来を準備する」ことにあると表明しました。
CPEについては二月の初めから主要な労組すべてと学生・高校生団体がそろって反対を表明し、五度にわたって全国スト・デモを実行。三月二十八日と四月四日には、いずれもデモ参加者が三百万人に達する記録的な規模となりました。
三月三十一日に大統領はCPEを事実上棚上げし、労組、学生団体、経営者団体との協議で修正法案を作成するよう政府・与党に指示。協議は七日で終了し、結論が待たれていました。
新雇用策「初採用契約(CPE)」 青年雇用を促進するためとして、労働者を新規に雇用する場合、企業に社会保障負担分の3年間免除などの特典を与える一方、自由に解雇できる「試験採用(見習い)期間」を通常1―3カ月から2年間に延長します。26歳未満の青年に適用。「不安定雇用を拡大する」として労組や学生団体は撤回を求めていました。