2006年4月7日(金)「しんぶん赤旗」
“容疑者を不法移送”
アムネスティがCIA批判
【ロンドン=岡崎衆史】国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは五日、米中央情報局(CIA)がテロ容疑者を不法移送していたという報告を発表しました。報告は、CIAが「トンネル会社」を通じた民間機チャーターなどで、目的を隠したままテロ容疑者を大規模に移送してきたことを明らかにしました。
報告によると、二〇〇一―〇五年に「トンネル会社を通じてCIAが恒常的に運航しているとみられる」航空機が、主に欧州空域で千回近く飛行したと指摘。これに加えて、一時的にCIAが使用する航空機が約六百回運航したことも明らかにしました。
収容者の拷問・虐待が問題になっているキューバ・グアンタナモ米軍基地近くに百回以上飛行したCIA機もあるといいます。
報告は、秘密収容所に移送されたとみられるイエメン人三人の証言を基に、収容所が東欧か中央アジアに存在した可能性も指摘しています。
報告は米国に対して、拘束者のうちで明らかに違法行為をした者については公正な裁判にかけ、そうでない者には解放することを要求。各国政府に対しても、情報機関による航空機使用は民間使用と見なさない、不法な容疑者移送に空域や空港を使用することを禁ずる―などを求めました。航空会社にも、人権侵害などに航空機が使用されないよう責任を持って対応するよう促しました。
アムネスティ・インターナショナルのカーン事務総長は「米政府が国際法違反の移送のためにいかに商業的な装いを利用しているかがわかる。それだけ米政府がなんとか拉致行為を隠そうとしているということだ」と述べ、米政府の対応を批判しました。