2006年4月4日(火)「しんぶん赤旗」

青年の解雇規制緩和

独でも批判噴き出す

連立政権内で矛盾


 フランスでの青年の解雇規制緩和に反対する学生・労組のたたかいが隣国ドイツにも波及しています。

 ドイツでは昨年の選挙で成立したキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)の二大政党が連立政策綱領で新規雇用労働者の解雇規制緩和で合意していました。しかし、ここにきて、労組、経済界の左右から批判が相次ぎ、ミュンテフェリング副首相兼労働社会相(SPD)は三月に法案として審議開始する予定だった解雇規制緩和案の「凍結」の可能性を打ち出しました。

 二大政党の連立綱領の解雇規制緩和は、新規雇用者の「見習い期間」を現行の六カ月から二十四カ月まで可能とする一方で、この期間内であれば企業の都合により自由に労働者を解雇できるとするもの。フランスで大反対運動が起こっている「初採用契約」(CPE)に比べ、年齢制限はないものの同趣旨の政策です。

 独労働組合総同盟(DGB)のゾンマー議長は「フランスでたたかわれているようにわれわれもたたかう計画だ」と述べています。統一サービス産業労働組合(ベルディ)は「大企業は大きな利益を上げながら、同時に人員削減し、解雇の脅しをかけている」「(解雇規制を緩和するのではなく逆に解雇規制を強め)企業が利益を上げている場合は企業都合の解雇は禁止すべきだ」と主張しています。

 これに対し、経済界も連立綱領案を逆の立場から批判しています。

 CDUの連邦議会議員でもあるドイツ経営者団体連盟(BDA)のゲーナー事務局長は、(1)二十四カ月の「見習い期間」中の解雇を障害者や事業所評議会(職場を代表する労働者組織)委員にも適用すべきだ(2)労働協約により解雇可能な見習い期間のさらなる延長も可能にすべきだと主張。メルケル内閣を揺さぶっています。

 ミュンテフェリング副首相は三月二十九日、解雇規制に関し「現状のままでの凍結」を主張、連立二大政党で構成する政策綱領委員会での検討を提起しました。

 連立政府では、シュレーダー前政権から引き継いだ原発の二〇二〇年までの廃止の方針についても対立が表面化。保守の側からは原発廃止期限を延長せよとの要求が強まっています。

 メルケル連立政権は一つの転機を迎えています。(片岡正明)


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp