2006年4月3日(月)「しんぶん赤旗」
主張
グアム移転費負担
対米従属姿勢がつり上げ呼ぶ
アメリカ政府は、沖縄海兵隊員八千人のグアム移転費を、二十九億ドルにはじまって三十五億ドル、七十六億ドル、八十億ドル、ついには百億ドルにまでつりあげています。日米外務・防衛審議官級協議で、百億ドル(二〇〇六年度予算の換算レートで一兆一千八百億円)の75%を日本が負担するようせまっています。
戦後六十一年も沖縄にいすわり、県民を苦しめてきた海兵隊は、迷惑料をおいてでもグアムに移転するのが筋です。巨額の負担を当然視し、値切り交渉に終始する小泉政権の態度は、本末転倒です。
移転は米軍の都合
政府は、沖縄からの海兵隊員八千人のグアム移転が沖縄の負担軽減のためであるかのようにいっています。これは事実ではありません。
昨年五月の米議会「海外基地見直し委員会」報告書は、米政府が沖縄海兵隊八千人のグアム移転を計画しているとのべ、そのために二十九億ドルが必要だと書いています。グアム移転がグアムの一大拠点化計画の一部であることを示したものです。ローレス米国防副次官も「グアムは太平洋の米前方展開の最重要拠点になる」といっています。
空・海軍の基地づくりはすすみ、つぎは海兵隊の基地の新設です。海兵隊をグアム、沖縄、ハワイ一体で運用し、地球のどこにでも迅速に出撃させるためです。沖縄からの海兵隊司令部など八千人のグアム移転は、この計画の前提です。これがなければグアム再編はすすみません。
それを沖縄の負担軽減のためかのようにいうのは、あとで持ち出した、負担のための口実にすぎません。移転費は米政府が負うのが当然です。
沖縄県民の基地撤去の願いを逆手にとって、巨額の移転費負担と全国への痛みのたらい回しを強行するなど、県民をばかにするものです。
県民の負担軽減をいうなら、海兵隊の撤去・撤退を正面から米政府に要求すべきです。
米政府が協議を重ねるたびにグアム移転費をつりあげてきたのは、小泉政権が、「抑止力の維持、負担軽減」を強調し、アメリカいいなりに再編をすすめているからです。
米軍再編経費の日本負担は、総額三兆円をこすとの指摘もあります(「日経」三月十二日付)。グアム移転費、沖縄の新基地建設、米軍部隊の移駐などに伴う米軍基地施設の追加提供、自衛隊基地の米軍のための施設整備など、米軍再編費はつりあがるばかりです。
毎年六千億円以上の米軍駐留経費と新たな米軍再編経費で、国民生活予算切り捨てがすすみます。再編をやめさせることが重要です。
看過できないのは、米政府が日本の軍事費を増やすよう公言し始めたことです。シーファー駐日米大使は、日本が軍事費をGDP(国内総生産)1%以内にとどめた「1%枠」(一九七六年十一月)について、「米国人には非常に理解しがたい」とのべました(三月十七日)。
平和原則にもとづく「1%枠」を取り払い、GDP4%のアメリカの軍事費に近づけよという圧力です。理不尽な内政干渉は許せません。
米軍再編拒否を
小泉政権は、財政難を口実に国民に過重な負担を押し付け、かつてない苦しみを強制しています。米軍優先で経費負担を増やせば、国民生活予算をますます圧迫します。米軍再編に反対するのは当然です。
“米軍を栄えさせ日本国民を枯らす”異常な対米従属政治をやめさせることが重要です。