2006年3月31日(金)「しんぶん赤旗」
労働基本権 公務員に
ILO、日本政府に3度目勧告
国連の国際労働機関(ILO)は二十九日(現地時間)の理事会で、ILO条約「結社の自由」原則に従って、日本の公務員にストライキ権など労働基本権を付与する法改正について早急な合意を求める「結社の自由委員会」の勧告を含む報告を承認しました。
全労連と連合がそれぞれ、労働基本権はく奪はILO条約違反だと提訴(二〇〇二年)していたのを受けたもので、〇二年十一月と〇三年六月に続いて三度目の勧告となりました。労働基本権付与に背を向ける政府の姿勢が改めて問われます。
この問題をめぐっては二十日に政府と連合が検討会を設けることで合意し、五月にも検討会のあり方や設置時期などを詰めるとされています。
今回のILO報告ではこの間の日本政府の動きにふれ、「特に公務員の労働基本権に関する重要事項が未決定である」「政府がこの機会に消防職員と刑務所職員が団結権を享受できるよう勧告する」と強調しています。
そのうえで勧告では、(1)公務員への労働基本権付与(2)消防職員や刑務所職員への団結権付与(3)国家の運営に従事しない公務労働者に団体交渉権・協約締結権を保障(4)国家の名において職権を行使しない公務労働者にストライキ権を保障―などの法改正について、「早急に合意に達するために現在進行中の努力を続けるよう関係者に強く督励する」とのべています。
勧告ではまた、独立行政法人に移管された労働者の団体交渉権の再構築などについても情報提供を求めています。
日本国憲法の第二八条はストライキ権などの労働基本権を保障していますが、占領米軍の指示で公務員のスト権がはく奪されて以来、公務員は一律にストライキ権を禁止され、団結権や団体交渉権も厳しく制限されてきました。