2006年3月31日(金)「しんぶん赤旗」
PSEマークなし中古家電
売買これまで通り
経産省の答弁・会見から
四月一日から電気用品安全法によるPSEマークのない中古品販売禁止を打ち出していた経済産業省が世論の厳しい批判で、この方針を撤回しました。これで、四月から「レンタル」という解釈で、リサイクル業者らがこれまでどおり買い入れも販売もできることになりました。
ところが二十九日、近畿経産局が非公開でおこなったリサイクル業者との懇談で「PSEマークなしで販売できるとしたマスコミ報道は間違い。マークは張ってもらう」と発言したと伝えられています。インターネット上でも、こうした情報がとびかって業者に不安と混乱が出ています。
改めてリサイクル業者団体と経産省の合意と、経産省課長の記者会見、経産省審議官の国会答弁で、明確に方針が撤回されていることを見ておきます。
業者との合意
リサイクル業者でつくる「PSE問題を考える会」と経済産業省が二回の交渉をおこない、合意した内容が二十四日、両者の共同記者会見で発表されました。
「会」の小川浩一郎発起人代表が読み上げた文章には次のように記されています。
「販売後の検査やレンタルなどの工夫をすることによって、現実に在庫として抱えている中古品の販売が継続できることを当局に要望し、了解された。これにより実質的に猶予期間が延長されたものと理解している」
小川氏は、これらの内容を経産省の福田秀敬消費経済政策課長が同席している会見で読み上げ、「今後もリサイクル業界はPSEマークがなくても、買い取りおよび販売を継続していく」とのべました。
課長の回答
このあと福田課長が発言。経済産業省の回答で「販売後の検査やレンタルなどを活用することによって四月一日以降、中古品取扱者が現実に中古品を販売することが滞らない」ようにしたとのべました。さらに「事業者間での取引で必ずしも消費者にわたることが明確でないものについては、明確になった時点でPSEマークを付せば足りる」と述べました。つまり、PSEマークなしでも業者間の取引ができることを容認するということです。
福田課長と記者間のやりとりで、解釈はいっそう鮮明になっています。
――レンタルという形なら検査はいらないということか。
課長 さようでございます。
――譲渡するときにはPSEマークの検査をするのか。
課長 それはケース・バイ・ケースだ。今回の問題は四月一日に非常に多くのリユース事業者に検査機器がいきわたらないというところが問題の根幹なので。
――PSEマークのない電気用品を販売していいというのは、どういう法解釈なのか。
課長 基本的にはレンタルの一環だと思っている。
――実質的な猶予期間の延長という「会」の見解は担当課長としても同じ見解か。
課長 今回の現場の知恵というものが四月一日の混乱を回避する非常にいい知恵だった。猶予というのは、私どもは検査機器が十分に行き渡らない、その間だと理解している。
福田課長はさらにレンタル契約について「口頭で了解されても契約だ」、レンタルしたあと無償譲渡することについても、「無償譲渡は譲渡ですから販売ではない」と述べました。書面での契約も必要ない、レンタルとして中古品を引き渡したあと“無償譲渡”した――こうすることで、これまでと変わらない取引を容認したのです。
国会答弁でも
二十九日、経済産業委員会での日本共産党・塩川鉄也衆院議員の質問に経済産業省の迎陽一審議官は次のように答弁しました。
「検査機器が備わっていない等により今すぐ検査をして販売することができない状況下で、レンタルとか、レンタルと事後検査を組み合わすとか、こういった形で営業を継続することとしたいというお話があった。販売は法の規制にかかるがレンタルは法の規制にかからない。この点については違法とはいえないという旨の再確認をした」
伝えられている近畿経産局の見解は、経済産業省と業者の合意にも、国会答弁にも反していることは明白です。
厳しい国民世論にさらされて、方針を全面的に方向転換せざるをえないところに追い込まれた経済産業省は、「焼け野原状態」(二階俊博経産相)の混乱におちいっています。この混乱は自らの責任でまねいたものです。業者や消費者を混乱に巻き込むことがないよう責任ある対処が求められています。