2006年3月31日(金)「しんぶん赤旗」

日歯連事件

橋本元首相と自民が関与

東京地裁判決 村岡元長官は無罪


 自民党旧橋本派(平成研究会)の一億円ヤミ献金事件で、政治資金規正法違反(不記載)罪に問われた元官房長官村岡兼造被告(74)の判決公判が三十日、東京地裁で開かれました。川口政明裁判長は村岡被告の関与を指摘した滝川俊行元平成研会計責任者(57)=有罪確定=の証言の信用性について「疑問がある」とのべ、無罪(求刑禁固一年)を言い渡しました。同時に判決は、一億円のヤミ献金処理や迂回(うかい)献金に橋本龍太郎元首相や自民党本体も深くかかわった可能性を示し、自民党の政治姿勢を厳しく問いただすものとなりました。

 川口裁判長は滝川元会計責任者が、橋本元首相や元宿仁自民党事務局長に捜査が及ぶのを阻止するために虚偽供述した可能性があると指摘。

 「(不記載や迂回献金など)自民党の不透明な献金処理方法が白日の下にさらされれば政権政党の失墜にもつながる」ことから、滝川元会計責任者らが「隠蔽(いんぺい)工作した可能性は否定できない」とのべました。

 同事件は、村岡被告が派閥幹部会で、日本歯科医師連盟(日歯連)から提供された一億円の領収書を発行しないと決めた事実の有無が争点となりました。

 一億円提供については、▽橋本元首相が日歯連との関係修復という意味で集めた個人的なもの▽滝川元会計責任者が日歯連に出向いて、領収書は出せないと通告したさい、橋本元首相の筆頭秘書が同席した――などの事実をあげ、一億円のヤミ処理は「橋本元首相の意向だった」と指摘。「橋本元首相は、政治資金規正法上、平成研の代表者であるから、政治資金規正法違反の罪に問われる可能性が高い」としました。

 川口裁判長は、二〇〇一年十一月、日歯連から山崎拓自民党前副総裁への三千万円の献金と、二〇〇〇年十一月ころの橋本元首相への一千万円の献金は「迂回献金であった疑いが濃厚」とし、「迂回のシステムは元宿仁自民党事務局長を中心に確立したと認められる」と断定。一億円のヤミ献金についても、「献金の実現から不記載をきめた事後処理まで元宿事務局長が深く関与していた可能性は否定できない」と指摘しました。


今後も徹底追及必要

佐々木衆院議員が談話

 自民党旧橋本派の一億円ヤミ献金事件で村岡兼造元官房長官への無罪判決について、日本共産党の佐々木憲昭衆院議員は三十日、次のコメントを発表しました。

 一、判決が、滝川氏の証言を「疑問な点が少なくなく、到底信用できない」と述べ、その理由として「平成研への打撃を最小限に食い止めるとともに」「自民党全体あるいは国民政治協会(国政協)に事件が波及し、その不透明な献金処理方法が白日のもとにさらされるのを阻止するため」とのべたことは重要である。

 二、この裁判で、一億円を受け取った橋本、青木、野中の各氏らが証人出廷したが、巨額の裏金を受け取った理由、その見返り、使途など、真相について何ら語ろうとせず真相は明らかにならなかった。国会で与党が、証人喚問をうやむやにし、真相究明を妨害してきた責任も問われる。

 三、今回の裁判で明らかになったのは、国政協などを経由した迂回(うかい)献金、裏金処理、収支報告書の虚偽記載など、自民党の腐敗体質である。献金した側の日歯連の幹部が、迂回献金の存在を具体的に証言したことは重要であり、自民党は、このことを不問に付すことは許されない。今後、国会でも徹底追及が必要である。


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