2006年3月28日(火)「しんぶん赤旗」
米軍再編 日米協議大詰め
基地強化が突出
自治体・住民に受け入れ強要
在日米軍再編の「最終報告」取りまとめに向け、日米間の協議が大詰めを迎えています。二十三―二十四日の審議官協議では最終合意に至らず、三十、三十一日にワシントンで再度開くことになりました。「最終報告」は四月以降にずれ込みますが、日米両政府は、早期決着のため動きを強めています。
日米で“溝”も
この間の日米協議で「隔たりが大きい」(麻生太郎外相)のが、沖縄の米海兵隊司令部を中心にしたグアム移転経費の負担問題です。
米側は、司令部棟や家族住宅、訓練施設などの建設費に加え、道路や港湾などのインフラ整備費も含め総額約百億ドル(約一兆二千億円)を提示、その75%(九千億円)の負担を日本側に求めています。日本側は家族住宅の建設費と一部インフラ整備費について融資方式などで負担に応じる考えですが、米側は同意していません。
普天間基地(沖縄県)の空中給油機部隊の移転問題も、結論が出ていません。昨年十月の在日米軍再編の「中間報告」では、移転先として自衛隊の鹿屋基地(鹿児島県)を優先して検討するとしていましたが、米側は岩国基地(山口県)への変更を求めています。
一方、日米で合意し、詳細が明らかにされた計画もあります。
嘉手納基地(沖縄県)を中心にした米軍機訓練の移転では、政府は日米共同訓練という形で本土の六基地へ移転すると説明。関係自治体に、基地ごとに決められている日米共同訓練の回数制限を撤廃するよう求めています。二〇〇六―〇七年度にかけて移転を始める計画も示しました。
キャンプ座間(神奈川県)への米陸軍戦闘司令部の創設では、相模総合補給廠(同)への軍用車両三百―四百両の配備など増強計画を明らかにしつつ、同基地の「一部返還」も提示し、地元に容認を迫っています。
自衛隊車力基地(青森県)へのXバンドレーダー配備では、政府は今年夏に行う方針を示しています。
沖縄本島中南部の六基地「返還」も明らかにされました。牧港補給基地やキャンプ瑞慶覧などが対象ですが、大部分は県内移転が条件です。
これらの計画を完全に容認する自治体は現時点で一つもなく、その多くがすでに反対の態度を表明しています。
日本政府は、「抑止力の維持」と「地元負担の軽減」の両立を在日米軍再編の基本方針にしています。これは本来、「二律背反する」(麻生外相)ものです。示された計画はいずれも「負担軽減」にはほど遠く、「抑止力の維持」=在日米軍の強化だけが突出し、その矛盾が噴き出している形です。
反対あっても
ここにきて政府は強硬姿勢をつよめています。
小泉純一郎首相は二十一日、普天間基地に代わるキャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県名護市)への新基地建設計画(沿岸案)について、「微修正」は認めつつも、計画の基本は変えず、「反対運動があっても実行可能」であることを最優先する方針を決めました。
額賀福志郎防衛庁長官は、島袋吉和名護市長と繰り返し会い、同市がこれまで求めてきた「修正」はできないとし、「微修正」で受け入れるよう迫っています。防衛庁は二十四日、“反対運動の妨害で普天間基地の返還が進んでいない”とし、沿岸案を大宣伝するパンフレットを作製、配布も始めています。
空母艦載機部隊の移転をめぐる旧岩国市(山口県)での住民投票で「反対」が九割を占めたことに、政府は「防衛は国の専管事項」であるとして、投票結果を「無視」する姿勢も強めています。
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