2006年3月28日(火)「しんぶん赤旗」
2.7兆円負担増予算成立 共産党は反対
国民犠牲・地方しわ寄せ
約二兆七千億円の国民負担増を盛り込んだ二〇〇六年度予算が二十七日、参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立しました。日本共産党、民主党、社民党、国民新党は反対しました。
一般会計総額は七十九兆六千八百六十億円です。定率減税の全廃など庶民増税、医療制度などの社会保障改悪、「三位一体改革」による地方財政へのしわよせなど、国民に犠牲を強いるものとなっています。
「医療制度改革」の名による高齢者を中心とする負担増、混合診療など保険医療の縮小も盛り込まれ、相次ぐ社会保障改悪は、国民生活に大きな負担をかぶせることになります。
また、「三位一体改革」の名で、義務教育費国庫負担金や児童扶養手当給付費負担金などの縮減・廃止も盛り込みました。
一方で、関西国際空港二期工事のような巨大空港、スーパー中枢港湾、大都市の高速道路、大型ダムなど大規模事業は引き続き「聖域」化し、ムダの構造はそのままです。
軍事費も五兆円近い規模で、ブッシュ米政権が推進している「ミサイル防衛」(MD)の関連経費は過去最高の千四百億円に達しています。
日本共産党は衆院審議で、国民生活支援の方向での予算の抜本的組み替えを求める動議を提出し、軍事費や大型公共事業のムダと浪費の削減、道路特定財源の一般財源化、大企業、大金持ちに対する優遇税制にメスを入れる税制改革などを求めました。
06年度予算 主な負担増【税金】
□所得税・住民税の定率減税全廃07年に全廃(所得税は1月から、住民税は6月から)
□たばこ税
1本あたり1円相当の引き上げ
□酒税(第3のビール)
350ml1缶あたり3.8円増税
【年金】
□国民年金保険料
月額280円引き上げ
□厚生年金保険料
0.354%引き上げ
□年金給付額
物価スライドで0.3%減
【介護保険】
保険料引き上げ
【高齢者医療(70歳以上)】
□「現役並み所得者」の窓口負担
現行2割→3割へ
□長期入院患者の食住費(月額)
食費2万4千円→4万2千円
居住費0円→1万円
【障害者の福祉サービス】
□自立支援法の施行
障害者の福祉サービスなどに1割負担導入
重要課題 引き続き追及
市田書記局長会見
|
日本共産党の市田忠義書記局長は二十七日、国会内で記者会見し、二〇〇六年度予算の成立にあたり、衆参両院での本会議、予算委員会などの審議を通じて明らかとなった問題と日本共産党が論戦で果たした役割を振り返り、「予算は成立したが通常国会は続く。ひきつづき、国政の重要問題での追及を、院外の国民的なたたかいとむすんで強めていきたい」とのべました。
市田氏は、予算審議を通じ、(1)小泉「構造改革」の破たんとほころびがだれの目にも明らかになった(2)日本共産党は、医療改悪をはじめ社会保障改悪をいっそう押し付けようとする予算を真正面から追及した(3)日本共産党は、院外での住民運動と結んで米軍再編問題を追及し、防衛施設庁などの談合問題でも本質をついた論戦をおこなった、と強調しました。
その上で市田氏は、「もう一つ明らかとなったのは、『二大政党』の一方の側である民主党が、国政の基本問題で自公政権にたちむかう明確な対抗軸を示しえないことだ」と指摘。「加えて、『にせメール』問題が出た。政治的立場としても自公政権に立ち向かえないし、政府・与党を追及するという野党のあり方、政党のあり方の点でも根本から問われる大失態を演じ、結果として自民党を利した」と批判しました。市田氏は「そういうなかで、日本共産党は、耐震強度偽装、ライブドア、米国産牛肉、官製談合の『四点セット』で本質をついた論戦をすると同時に、米軍再編や医療改悪の問題でも、積極的な論戦を展開できた」とのべました。