2006年3月26日(日)「しんぶん赤旗」

多重債務者アンケート

サラ金 過剰融資が横行

低所得者に「もっと借りろ」


 多重債務者の約四割はサラ金から必要な金額以上に借りるよう勧誘されている――。国民生活センターが多重債務者を対象に実施したアンケート調査で、こんな結果が出たことがわかりました。サラ金が「過剰融資」(借り手の返済能力を超える金額の貸し付け)を日常的に行い、それが多重債務に直結している実態が浮き彫りになっています。

 調査には多重債務者五百八十五人が回答しました。調査結果によると、はじめて借りたころの年収は、二百万円未満の人が29・9%、二百万―三百万円未満が27・9%、三百万―四百万円未満が16・9%など。所得の低い人ほど借金していることを示しました。「はじめのころの借り入れ理由」でも、「収入の減少」が25・6%、「低収入」が20%にのぼりました。

 しかし、借金の総額が百万円未満という人はわずか6・9%。三百万円以上・五百万円未満が34・5%、五百万円以上が36・8%にのぼるなど、経済力に比べてぼう大な貸し付けをされていることが判明しました。

 さらに、サラ金から「貸付可能額の増額を提案された」と答えた人が61・7%、「必要な金額以上の借り入れをすすめられた」が38・6%、「新規・追加の借り入れを勧められた」が32・8%にのぼり、サラ金側が安易に過剰融資に踏み込んでいる実態が浮かびあがりました。

 「借金返済のため」の借り入れは、借金のはじめのころは19・8%でしたが、返済が困難になってきた時期には51・5%にまで増大。サラ金が高金利をとるなか、返済に苦しみ雪だるま式に借金を膨らませてしまう人が多いことを示しました。

 その結果、「別居や離婚など家庭崩壊を招いた」人が22・6%、「自殺を考えた」人が35%、「ストレスから病気になった」人が30・4%にのぼるなど、深刻な事態が起きていました。

 一方で、それ以上は支払う義務がない利息制限法の制限金利(年15―20%)については、90・3%の人が「知らなかった」と回答。67・5%が「規制を厳しくし、金利は下げたほうがいい」としました。「利息制限法の金利も高い」とした人も41・7%にのぼりました。

 調査をした同センター「多重債務問題研究会」は「安易で過剰な融資の実態がある。消費者金融業者の貸出金利と調達金利間の利ざやが大きく、貸せば貸すほど収益があがる構造的な要因がある。無人契約機の普及が借金意識を希薄化させ、過剰融資に拍車をかけている」と指摘。貸金業規制法の過剰融資禁止規定の徹底や上限金利引き下げ、広告の見直しなどを提言しています。


75%がサラ金

 アンケートによる多重債務者の実態調査は、昨年十一―十二月、弁護士と司法書士の事務所に借金相談に訪れた人を対象に実施。多重債務の相談が九年間で八・八倍に急増しているなか、二百万人ともいわれる多重債務者の実態を明らかにし、対応を検討する目的で行ったもの。借入先は、サラ金(74・7%)、信販会社(57・3%)、銀行など金融機関(34・0%)、ヤミ金融(8・2%)、商工ローン(5・3%)で、サラ金と信販会社の両方から借り入れている人は46・2%でした。


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