2006年3月23日(木)「しんぶん赤旗」

エネルギー・貿易で協力

国連の枠組みを強調

中ロ首脳の声明


 二十一日に北京で行われた中国・胡錦濤主席とロシア・プーチン大統領の会談では、「世界の平和と安定」「(両国の)協力関係強化」の両面で、これまで以上の共同歩調をとることが表明されました。(小寺松雄)


 会談で調印された共同声明は、世界情勢論にかなりの部分をさき、諸問題の「国連の枠内」での解決を主張。「国連は重要な役割を果たしてきた。国連の権威を高めていくことが必要」だとしています。

 その上で「イラン核問題の政治・外交的解決」をうたい、「北朝鮮の核問題は、忍耐と建設的態度で六カ国協議を進め、平和的に解決する」と述べています。

 プーチン大統領は訪中前に中国メディアに対し、「民主主義の輸出を押し付ける一部の動き」と述べ、暗に米国をけん制していました。

 声明は、ユーラシア地域の安定への意思を表明し、上海協力機構(中ロと中央アジア四カ国で構成)と、中ロとインドの三国間の関係強化をうたっています。

 この十年、中ロ両国は「戦略的パートナーシップ」を掲げて友好関係を強化し、国境問題なども解決してきました。

 その上に立って今回の声明は、「ロシアから中国への原油、天然ガスのパイプライン設置」を正式に盛り込みました。長さ三千キロ、費用はロシア負担です。いま中国は、高い経済成長を支えるエネルギー資源が不足しています。そのなかでの措置です。

 今回の会談と声明はまた、「現在年三百億ドルの両国貿易を五年間で二―三倍にする」という高い目標を打ち出しました。中ロは貿易相手国として互いに三位以内に入っていません。特にロシアから中国への輸出は、これまでは武器や石油が中心でした。

 イラク戦争・占領やイラン核開発問題など世界の平和秩序にかかわる問題で国連の役割を主張してきた両国の今後の動きが注目されます。


経済フォーラム ロシア大統領が出席

釣魚台国賓館

 【北京=菊池敏也】中国を公式訪問中のプーチン・ロシア大統領は二十二日、中国の胡錦濤国家主席とともに釣魚台国賓館で開かれた「中ロ経済商工界高級フォーラム」に出席しました。プーチン大統領はまた温家宝首相、呉邦国全人代委員長と個別に会談しました。

 高級フォーラムでの講演でプーチン大統領は、ロシアが中国の「第五のエネルギー供給国」となったと指摘。シベリアと太平洋を結ぶ原油パイプラインの中国への支線建設に言及しました。両国企業がすでに協定に調印し、「将来建設するための可能性を研究している。このプロジェクトが実施されると中国への原油供給を増やすことができる」と述べました。同大統領はまた、ハイテク、宇宙開発、医療、農業、金融、通信などの分野での協力を希望しました。

 胡錦濤主席は、中ロ貿易が一九九六年の六十八億ドルから昨年の二百九十一億ドルへと急速に拡大していることを評価。今後の経済協力について、(1)貿易拡大(2)投資促進(3)エネルギー資源の開発(4)ハイテク協力(5)投資環境改善―の五項目の提案をしました。


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