2006年3月20日(月)「しんぶん赤旗」
フランス
雇用問題150万人デモ
世論を前に、首相窮地
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【パリ=浅田信幸】若者のほぼ四人に一人が失業という問題の打開を掲げて仏政府が打ち出した新雇用策が、労働者や学生の強烈な反対にあい、ドビルパン首相が窮地に陥っています。十八日にも、二月以来三度目になる労学共同のデモが全国百六十カ所でおこなわれ、主催者発表で計百五十万人(パリは三十五万人)が参加しました。
デモを呼びかけたのは、労働総同盟(CGT)はじめ主要八労組と、全国学生連合(UNEF)など学生・高校生の三団体。二月七日の第一波の参加者は四十万人、三月七日の第二波は百万人と発表されており、回を重ねるごとに規模が拡大しています。
政府の新雇用策「初採用契約(CPE)」は、二十六歳以下の新雇用者の解雇を容易にすることで、企業側の採用意欲を引き上げるというもの。これが労働者の権利を侵害し「不安定雇用を制度化」するとして、「若者を使い捨て労働者にするものだ」と反発を呼んでいます。
十六日にも大学生・高校生五十万人が参加した全国的なデモがあったばかり。全国八十四大学のうち六十を超す学園で学生ストや占拠・封鎖が実行され、学長会議の代表は十七日、ドビルパン首相に「対話促進」と「CPEの棚上げ」を申し入れています。
労組、学生団体の代表は十八日、デモ終了後に改めて「CPE撤回」を大統領と政府に呼びかけるとともに、月曜日の二十日に再度会議を開き今後の運動の方針を決めるとした共同声明を発表。労組の代表は、これが事実上の「最後通告」であり、次はゼネストを構える予定だといいます。
政府スポークスマンは十八日夜、「CPEの改善のため対話の門戸を開いている」との声明を発表したものの、撤回はあくまで拒否する姿勢を明らかにしました。しかし、世論も七割は労働者と学生のたたかいを支持しており、ドビルパン首相の選択の幅はますます狭まっています。