2006年3月18日(土)「しんぶん赤旗」
米軍が最大規模攻撃
イラク中部に軍用車両200台
【カイロ=小泉大介】イラク駐留米軍は十六日、首都バグダッド北方約百キロのサマラ周辺で同日、二〇〇三年のイラク戦争開戦以降最大規模の軍事作戦を開始したと発表しました。攻撃は数日間続くとしており、宗派間対立による「内戦の危機」が指摘されるイラクはさらなる混乱が懸念されます。
攻撃は「武装勢力掃討」を理由としたもので、米軍とイラク軍合わせて兵士千五百人と、ブラックホークやアパッチなど攻撃ヘリコプター五十機が動員されました。軍用車両二百台を投入した地上作戦も始まっています。死傷者は不明ですが、米軍は初日の攻撃で、武器庫数カ所を取り押さえ、四十一人を拘束したと発表しました。
イラク移行政府のゼバリ外相は米CNNテレビで、攻撃の目的に関し、「(一昨年から昨年にかけての)ファルージャや西部シリア国境地帯への攻撃後、多数の武装勢力がバグダッド近辺に移動した」と語りました。
中部ファルージャをはじめとした過去の米軍の大規模攻撃では、数千人規模の民間人が無差別に殺害されており、今回も多数の市民が犠牲となる可能性があります。
サマラ南東約三十キロのバラド近郊では十五日、米軍が民家を爆撃し、現地からの報道や目撃者の証言によると、子ども五人を含む十一人が死亡しました。
犠牲者の親族は、「死亡したのは女性や子どもたちだ。米国はよりよい生活を約束したが、われわれが得たのは死だけだ」と訴えました。