2006年3月18日(土)「しんぶん赤旗」

主張

ライブドア事件

マネーゲーム横行させた責任


 赤字経営なのに五十億円以上もの黒字だと装った粉飾決算。偽りの合併情報を流して株価のつり上げを図った株価操作…。ライブドアの違法な「錬金術」が告発され、司法の裁きにかけられています。

 小泉首相は、ライブドア事件は小泉内閣の規制緩和とは「別問題」で、今後も「規制改革や市場開放・民間開放を進めていく」と、人ごとのように無反省です。

 「別問題」の一言で済ませられることではありません。堀江被告自身が「小泉内閣の規制緩和のおかげで、非常に商売がしやすくなっている」とのべています。

根本に小泉「改革」

 ライブドアは株式分割の自由化や株式交換による企業買収の解禁など、株式市場にかかわる規制緩和を最大限に「活用」して「商売」の手を広げてきました。いずれも日本経団連やトヨタ自動車、ソニーなど有力な大企業が要求し、自民党政府が推進した規制緩和です。

 小泉内閣は「貯蓄から投資へ」をスローガンにして、株式市場へのてこ入れを強めました。低迷する株価を浮揚させる対策であり、また大企業・大銀行のビジネスチャンスを広げ、家計の貯蓄を株式市場に引っ張り出そうという狙いです。

 二〇〇三年の「構造改革の基本方針」は、堅実な預貯金を重視する家計から「証券市場への流れを促進し、リスクマネーの流れを拡大する」としています。〇二年の基本方針では「株式投資単位の引き下げについて取引所等を通じ企業側に一層の推進努力を求める」と株式分割の「督促」までやりました。規制緩和と同時に株式売却益や配当にかかる税金を大幅に引き下げてきました。

 小泉首相は政治家が株取引をしてなぜ悪いかとのべ、竹中金融担当相(当時)は「絶対もうかる」と売り出し中の株式投資信託を買うよう、おおやけの場で“勧誘”しています。金融庁はテレビや雑誌で「証券投資がさらに身近になりました」と大々的に宣伝しました。

 こうした「改革」と宣伝の結果、株式市場の「グレーゾーン」がどんどん広がるとともに、個人の株取引が急拡大しました。インターネットを使った株取引の口座数は、小泉内閣発足時の約二百万から約八百万口座へと四倍化しています。

 「構造改革」は「法の抜け穴探しにたけた者が勝利するジャングル資本主義」(企業法制の研究者)を生み出し、多数の個人投資家を巻き込みました。

 「法の抜け穴探しにたけた者」こそ堀江被告です。ライブドア事件の根本には自民党政治が進めた規制緩和万能路線、とりわけ小泉「構造改革」があることは明白です。

 竹中大臣は著書の中で、賃金が抑えられても生活が苦しくならない方法がある、それは「資産の運用利回りを高めるという方法だ」と言っています。小泉内閣がマネーゲームをあおるのは、リストラ応援と国民負担増の政治に対する国民の批判をそらさせるためでもあります。

規制の総合的見直しを

 不公正な株式市場や税制は、マネーゲームをはびこらせ、株式を上場・公開する企業の腐敗を誘い、多くの国民を投資被害にさらします。

 株式市場のグレーゾーンを広げるやみくもな規制緩和路線は抜本的に転換すべきです。預金や保険を含め包括的に金融被害から国民を守る立法をはじめ、業界や金融商品のあり方、情報開示、監督・監視体制、罰則など、事前規制も含む総合的な規制の見直しが必要です。


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