2006年3月17日(金)「しんぶん赤旗」
新北九州空港 期待と不安の開港
容易でない顧客取りこみ
福岡県北九州市の周防灘に建設された新北九州空港が十六日、開港しました。総事業費千二十億円をかけたビッグプロジェクトです。地元経済の起爆剤としての期待が寄せられる一方、採算が取れるのかとの不安の声も強くあがっています。
空港内は、利用客や家族を出迎える人らでごったがえしていました。
早朝・深夜便などを主に就航する新規航空会社「スターフライヤー」(同市)の羽田行き旅客機の第一便がフライト。それに乗った福岡県宗像市の男性(63)は「空港スタッフから『帰りのバスが満員の時はタクシーを利用してください』と言われた。交通の対応策が悪い」とのべながらも、「福岡空港(福岡市)よりも近い。四月の東京行きにはこの空港を利用したい」といいます。
売店の女性店員(52)は「お客の入りは上々」といい、新空港の男性スタッフ(37)は「北九州市周辺には自動車、IT関連企業などが多い。新空港では貨物専用機も飛ぶ。物流の拠点になればいい」と期待を寄せました。
「利便性の高い空港。この空港が大きく活用されることは間違いない」。十二日の開港記念祝賀会で北側一雄国土交通相は、こうのべて胸をはりました。しかし、海上に作られた空港への鉄道アクセスはなく、北九州市の中心部の小倉までは高速道路を利用するエアポートバスで四十分です。
北九州市が検討している、新空港までのアクセス鉄道の整備は、採算が合うかどうかは不透明。鉄道整備の採算ラインは年間四百五十万人の航空利用です。すでに、福岡空港を筆頭に山口宇部、佐賀、大分の各空港が点在し、北部九州の顧客の大半は鉄道アクセスが良い福岡空港が占めています。新北九州空港が顧客を取りこむことは容易ではありません(図)。
JR西日本も博多―東京間の新幹線のぞみ号を十九本増発した一日五十二本体制をスタートさせ空港開港に対抗します。
日本共産党の石田康高北九州市議団長は、「アクセス鉄道の航空需要はあまりに過大。見通しがない。過大な需要予測に基づくアクセス鉄道は実現性に乏しく、実施すべきではありません」と語りました。