2006年3月17日(金)「しんぶん赤旗」
主張
外資献金解禁
この身勝手な「規制緩和」要求
自民党は、政治資金規正法が禁止している外資系企業の献金を解禁するため同法を改悪する案をまとめ、今国会に提出しようとしています。政治を腐らせる企業・団体献金をさらに拡大するための「規制緩和」であり、身勝手な法制度いじりは絶対に許せません。
外国勢力による支配
政治資金規正法は、外国人等からの政治献金受け入れを禁止しています(二二条の五)。国の政治や選挙が外国人や外国の組織・政府などによって影響を受けることを防止するという趣旨です。違反には「三年以下の禁固又は五十万円以下の罰金」という罰則も設けています。
規制の対象には、外国人や外国法人だけでなく「主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体」が含まれ、総務省の見解では、株式会社の場合、発行済み株式の過半数を外国人・外国法人が保有する会社もこれにあたるとされています。
自民党はこの規制をとりはらい、(1)日本に本社がある(2)日本の証券取引所に上場している―の二条件さえみたせば、外資系企業からも献金を受け入れられるようにしようとしています。
自民党の言い分はこうです。
近年の資本の自由化で、有力企業でも外資比率が五割を超える例が増えてきた。たとえば東証一部上場企業でも、キヤノン、オリックス、日産自動車まで「外資」だ。外資系企業による日本企業の買収が容易になる改正会社法が二〇〇七年から施行されれば、さらに資金源が先細りする。だから規制緩和だ――。
背後には財界の要求があります。
日本経団連は昨年十月、奥田会長の後任にキヤノンの御手洗冨士夫社長を充てる人事を内定しました。そのさい会長を出す企業が「外資」として献金規制の対象となっていることが問題になり、御手洗氏も制度の変更を求めました。
企業・団体献金は数々の汚職・腐敗の温床となり、くりかえしその廃止が議論になってきました。政治資金の提供は、主権者である国民の政治参加の手段のひとつであり、主権者ではない企業に、その権利はありません。日本に国籍のない外国人や外国企業に献金が認められないのも当然の原則です。
自民党がこうした根本問題をあいまいにし、献金を増やすためだけに外資系企業による献金の規制を緩和しようというのはまったくの身勝手というほかありません。
日本経団連は〇三年に、財界が要求する「優先政策事項」をもとに、政党の「通信簿」をつけ、献金額を決めるという献金あっせんを再開しました。その日本経団連の会長企業が献金できるよう規制を緩和しようというのは、自民党と財界による二重三重の身勝手というべきで、断じて容認できるものではありません。
企業・団体献金は禁止を
日本経団連による企業献金あっせん再開は、文字通り政治を金で買う企業・団体献金の醜悪な姿を国民の前に示しています。大企業の利潤追求を最優先にし、規制緩和万能、市場原理主義をすすめる小泉内閣の経済路線は、経済財政諮問会議をはじめとして政権の中枢に財界が直接乗り込み、金による財界の政治支配がつくられたことですすみました。
民主主義に反する企業・団体献金はただちに禁止すべきです。外資系企業に献金を拡大する企業献金の規制緩和は、小泉政権の規制緩和が自民党と財界の利益のためであることを証明するものでしかありません。