2006年3月15日(水)「しんぶん赤旗」

希少楽器など除外

中古家電 販売規制で経産省

自主検査の支援体制も


 経済産業省は十四日、電気用品安全法に基づく新表示「PSE」マークがなく五年の販売猶予期間の過ぎた家電製品(二百五十九品目)が四月から販売できなくなる問題で、“ビンテージもの”を除外するなどの緊急対策を発表しました。


本紙が連続追及

 希少価値の高い“ビンテージもの”といわれる電気楽器、電子楽器、音響機器、写真の焼き付け器・引き伸ばし機・引き伸ばし用ランプハウス、映写機については、PSEマークがなくても販売できることにしました。これは、検査を要しない「特定承認制度」(同法二七条二項)を適用したものです。

 中小リサイクル業者「負担軽減」策としては、感電しないことを調べる絶縁耐力試験等の自主検査を支援する体制を整備するとしています。全国五百カ所の拠点を設け、(1)経済産業省所管の独立行政法人を通じた検査機器の無料貸し出し(2)電気保安協会による半年間無料の出張検査サービス(3)都道府県の公設試験所による受託検査――などをおこないます。

 電安法は、もともと中古家電は想定外でした。それを経済産業省が今年二月、突然、対象になるといいだし、関係業界などが大混乱に陥りました。

 本紙は二月十七日付1面トップで「中古家電販売ダメ」と報道し、その後も一連のキャンペーンを行ってきました。マスメディアもとりあげるようになり、大きな社会問題になりました。日本共産党の塩川鉄也衆院議員は、この問題を国会で三回にわたって追及。今月一日の質問で、経産省監修の法令集にも中古品を対象とする記載がまったくないことが明らかになりました。批判の世論が噴出し、経産省の責任追及が厳しくなるなかで、対応が迫られていました。

 今回の緊急対策に対してリサイクル業者からは、「出張検査サービスをするというが、毎日販売する中古家電に、そのサービスができるのか」など実効性を疑問視する声が強くでています。

 北海道古物商業協同組合・PSE対応プロジェクト室長の青田郁雄さんは、「四月実施前に経済産業省を大きく動かせたことは前進です。しかし、ビンテージもの以外については、実態に合わない対策になっています。このまま突っ込めば無理がでてきます。もともと中古品は法律の想定外なのだから、適用除外するしかない」と話します。


業者の声聞き解決策検討を

 三回にわたり国会で追及してきた塩川鉄也衆院議員の話 ビンテージものの販売が可能になり、中小のリサイクル業者の「負担軽減」をいいだしたことは、この間の世論と運動の大きな成果です。“ビンテージもの”の範囲をどうするのかなど、注視していきたいと思っています。

 そもそも中古品は、電安法の販売規制の対象の外。無理に適用した矛盾は解消されていません。リサイクル関連業者などの意見を聞き、解決策を検討していくべきです。そのなかで、中古品の安全性の確保のルールづくりも検討していく必要があると思います。


 ビンテージ 本来の意味は、ワインの原料であるブドウの収穫年のこと。ブドウの当たり年につくられた極上のワインも意味します。転じて、もともとの品質がよく、古くて価値のある物の意味で、ファッション、楽器などでも広く使われています。


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