2006年3月11日(土)「しんぶん赤旗」
証券労働者がシンポ
ライブドア事件 「土壌に規制緩和」
ライブドア事件を証券の現場の労働者たちがどう見たか、何が証券市場をゆがめているのかを報告、議論するシンポジウムが十日、東京都内で開かれました。全国証券労働組合協議会(全証労協)と銀行労働研究会の共催。
全証労協の松井陽一議長(東京証券取引所労組委員長)は、ライブドア事件の土壌に米国の制度にならった政治主導の規制緩和があると指摘。「以前の商法は債権者保護のため(発行株式に対して)一株あたりの純資産を決めていたが、アメリカ流の規制緩和でなくしてしまった。それに一番目をつけたのが堀江被告で、株式分割、株式交換での合併・買収を繰り返し、虚飾の時価総額をふくらませていた」と話しました。
全証労協の多田純事務局長は、株をネットで取引する新規の顧客が急増する一方、新規顧客が株取引のルールが教えられず、不正をしても利益をあげようとする傾向があることを「懸念している」と話しました。また、証券会社から資金を借り入れて株取引する信用取引も「ネット取引では証券マンが(危険な取引を)倫理的にとめることもできない。証券会社はできるだけやらせる傾向にある」と話しました。
田村八十一・日本大学助教授は、「いまの『金融改革』を見直し、健全な証券市場をつくろうとする運動がつくられないと、マネーゲームがどんどん広がり、国民のお金がなくなっていく。金融市場の監視、規制強化を忘れてはいけない」と指摘しました。