2006年3月11日(土)「しんぶん赤旗」
商売なりたたない
家電販売規制 “中古は除外を”
国会内で集い 各地の業者訴え
全国各地のリサイクル業者らでつくる「PSE問題を考える会」は十日、東京・千代田区の衆院第二議員会館会議室で、「第2回連絡協議会」を開きました。
「安全性」を示す新表示「PSE」マークがない中古家電が四月から販売禁止されようとしているなかで、生の声を経済産業省に直接ぶつけ、死活にかかわるリサイクル業者の要望をとりまとめようと開いたものです。
全国から三十二社のリサイクル関連業者六十人以上がかけつけました。また同会の傍聴呼びかけに応えて共産、民主、自民、公明、無所属の国会議員三十三人(代理含む)が参加、業者の訴えに聞き入りました。
同会代表の小川浩一郎さん(43)は、「四月まで時間がないが、国会議員に法律の問題点やリサイクル業者の困惑、混乱を知ってほしい」とあいさつ。発起人の一人、諸田克仁さんが、「二月になって知ったという業者がほとんどだ。業者だけでなく、消費者にとっても疑問、おかしな点がいっぱい。問題点をただしていきたい」と訴えました。
経済産業省製品安全課の角井和久課長補佐との質疑応答では、業者の怒りが噴出。「中古品は、もともとPSE法(電気用品安全法)の想定外。だからわれわれに五年間も周知がなかった。法令集のどこにもない。無理やり中古品を対象にするから大混乱になっている。四月実施はむりだ」「もう店を閉めた業者もでている。財産権の侵害だ。多くの業者を廃業に追い込むようなことを行政がしていいのか」などが次々とだされました。
会合では、電安法見直しへの要望として(1)販売猶予期間の延長(2)中古品の適用除外、を求めていくことを確認。消費者とともに分厚い運動を展開していくことを決めました。
また集いでは共産、民主の代表があいさつ。日本共産党の塩川鉄也衆院議員は「超党派で力をあわせて、みなさんの声に応えるため国会で全力をつくす」とのべました。
猶予期間短すぎる
「PSE法(電気用品安全法)では使用期限を機械的に短く切ってしまったが、最近の電気製品は、ていねいに補修すれば百年はもつ製品だってある。音楽愛好家も、いま製造していない、古い製品を大事に使っている」―。横浜市のリサイクル業「ビーシーシステム」代表の高橋興一郎さん(横浜商工会議所会員)は、四月からの施行延期を訴えます。
会場の衆院第二議員会館第四会議室は、全国から集まった業者らの熱気に包まれました。
「新築ビルに製品を三月三十一日までに入れる契約をして、倉庫に中古の製品を集めていた。工事が遅れて、新築ビルに入れられるのが四月にずれこみそうなときに、中古品が販売できなくなると知って、びっくり仰天している」と話す高橋さん。初めは新品の製品を納入する予定でしたが、コスト削減のため、中古が七割を占めています。四月からの施行を知らず、倉庫にPSEマークのない製品をかき集めてしまったといいます。
「どうしたらいいのか。リサイクル業者は個人経営とか、家族経営も多い。経済産業省がもっと早くから中古製品も対象になることを知らせていたら、こんな苦しい立場にはならなかった。中古販売の猶予期間が短すぎる。四月からの施行を延期してほしい」。
「電安法に中古品が含まれるとするのはルール違反だ」というのは、札幌市のリサイクル店経営者、青田郁雄さん(北海道古物商業協同組合・PSE対応プロジェクト室室長)。
「中古品が法律に含まれたのは電安法が国会を七年前に通ってから。後出しジャンケンのようなものだ。この法律は初めから製造業者、輸入業者を対象にしたもので、中古品を扱う業者には適応しなかった。元からこの法には無理がある」と怒ります。
青田さんはいいます。「PSE表示をするための自主検査を行う方法があると経済産業省は言うが、その時に使用する設備は中古品に適応しているとはいえない。法を守ろうとまじめにやればやるほど無理だということが明らかになってきた。中古品を対象とするのを取り消してほしい」