2006年3月10日(金)「しんぶん赤旗」
植民地時代の国外強制連行
韓国、被害者に慰労金
「慰安婦」補償は日本の責任追及
【ソウル=面川誠】韓国政府は八日、李海瓚首相主宰の会議を開き、日本による植民地支配(一九一〇―四五年)下で国外に強制連行された被害者に対し、慰労金支払いなどの支援策を決めました。
これは昨年、日韓国交正常化(六五年)の関連文書が公開され、そのなかで植民地支配被害の補償に関する「日韓請求権協定」の交渉で、韓国政府が強制連行被害者への支援を行うと約束していたことが明らかになったことに伴う措置です。今年中に法を整備し、実施します。
一方で韓国政府は、請求権協定の交渉で論議されなかった日本軍「慰安婦」など「反人道的な不法行為」への補償については、日本政府の責任を引き続き追及することを確認しました。
韓国政府は一九七五年に、死亡した被害者の遺族に三十万ウォン(現在の二百三十四万ウォン=約二十八万円に相当)を支給しました。今回の支援対象は、負傷者、行方不明者、帰国船の沈没による死者、強制連行先での未払い賃金の支払いに拡大されています。
死亡者への遺族には二千万ウォン(約二百四十万円)を慰労金として支給。負傷者には、本人または遺族に対し、負傷の程度に応じて一千万―二千万ウォンが支払われます。無事に帰国した被害者に対しては医療、教育支援を行います。支援の額は、八八―九五年に日本政府が台湾出身被害者に支払った金額を参考にしています。
韓国政府は、支援の根拠が「道義的責任と人道主義原則」だとしています。李首相は「遅ればせながら、植民地下で一般国民が経験した以上の特別な被害を受けた方々を慰労し、支援することは、国民を保護すべき国家の当然の責務だ」と語りました。
未払い賃金は、当時の一円を現在の千二百円に換算して支払います。賃金の根拠となる資料を持たない被害者については、日本政府に当時の供託金名簿を引き渡すよう求めます。戦後、サハリンに取り残された韓国(朝鮮)人、韓国人被爆者の問題は、日本との協議を通じて支援範囲を拡大する計画です。