2006年3月9日(木)「しんぶん赤旗」
イラン核で討議開始 IAEA理事会
【ロンドン=岡崎衆史】六日からウィーンで開かれていた国際原子力機関(IAEA)の定例理事会(三十五カ国で構成)は八日午前(日本時間同日午後)、イランの核問題について討議を開始しました。
討議はエルバラダイ事務局長が理事会に提出した報告書に基づいて行われました。同報告書は、イランの核兵器開発を「確認していない」としながらも、同国のウラン濃縮活動の拡大と核関連活動の実態を把握できないと指摘しています。
理事会は八日中に閉幕する予定です。これを受け、イラン核問題の協議の場は、同国に制裁を行う権限を持つ国連安保理に移ります。IAEAは二月四日の緊急理事会でイラン核問題の国連安保理への付託を決議していました。
米国、英仏独の欧州三カ国、ロシアなど主要国は、イランに国内でのウラン濃縮活動の完全停止を求めることでは一致しています。しかし、イラン制裁をめぐっては、積極的な米国と、慎重姿勢をとるロシア、中国、非同盟諸国などの間で立場が異なります。米国は制裁の可能性をちらつかせつつ、安保理での早期協議入りを目指しています。
一方、イランは国内でのウラン濃縮活動の継続に固執。また、安保理付託は、より大規模なウラン濃縮活動の実施につながると警告しています。