2006年3月5日(日)「しんぶん赤旗」

シリーズ 許すな!大増税・大負担増時代

格差拡大に拍車

減る所得、広がる貧困層


 小泉首相やポスト小泉を狙う政治家たちは財界の意向を受けながら、本格的な大増税・大負担増路線に踏み出そうとしています。雇用が破壊され、所得が減り続け、貧困と社会的格差が広がっているなか、この道を許したら、暮らしと経済に何をもたらすでしょうか。(山田英明)

サラリーマン増税・消費税増税・社会保障改悪

家計と営業をこわす

将来への不安

 「このままでは将来が不安です。今、求職中ですが正社員の職はなかなかなくて」。東京都内の派遣会社に勤務する女性(27)は肩を落とします。

 月収十一万円の生活。父親と同居していなければ「生活できない」生活です。

 「一年ごとに契約を更新するたび、こんなに税金や社会保険料が取られているんだって驚きます」と彼女。今後さらに、所得税増税や厚生年金保険料の引き上げが待ちうけます。「これ以上の負担増ですか。ますます自立できなくなります」

 小泉内閣の下、生活保護世帯の数は年々増え続けています。厚生労働省によれば、二〇〇五年度には、月平均で初めて百万世帯に達する見通しです。

 内閣府が公表した〇四年度国民経済計算確報では、〇四年度の家計貯蓄率は2・8%となりました。一九八〇年度以来最低の水準を更新し続けています。金融広報中央委員会の調査では、貯蓄ゼロの世帯が全体で23・8%と〇四年に比べて増加。約四世帯に一世帯が貯蓄ゼロです。とりわけ単身世帯の場合、貯蓄ゼロ世帯が41・1%と、半数に迫ります。

非正規が増大

 大企業は、小泉内閣の後押しのもとリストラ・「合理化」を進めてきました。労働者の賃金を抑制するとともに、雇用形態を、正規労働者からパートや派遣社員など、非正規雇用中心に置き換えてきました。

 結果、サラリーマン世帯の実収入は減少。総務省の家計調査によると、九八年以来、〇四年に一時増加に転じたものの〇五年はふたたび減少に転じています。

 二〇〇〇年から〇四年の間に年収三百万円以下の労働者(一年を通じて勤務したもの)が急増しました。一方、同三百万円超二千万円以下の労働者は減少しています。

家計追い打ち

 収入の減少が続く家計に、小泉内閣による増税と社会保障改悪が襲いかかっています。

 税と社会保障は本来、所得に応じた負担によって高所得者・企業から低所得者へと所得を再配分する機能を持っています。

 自民党政治はこの間、大企業、高額所得者の税負担を軽減し、庶民、中小企業に増税を課してきました。その結果、貧困層拡大に拍車をかけています。

同じ轍を踏む

 今月二日、所得税・住民税の定率減税の廃止や物価スライドによる年金給付削減、介護保険料の引き上げや高齢者の医療制度改悪など、新たに二兆七千億円もの国民負担増を押しつける〇六年度予算案が衆院を通過しました。すでに決められた年金保険料の引き上げ(九月)や高齢者への住民税の課税強化(六月)などの負担増も今年、連続的に国民を襲います。消費税増税の議論も本格化しています。

 九七年に橋本内閣(当時)が、消費税増税と特別減税廃止、医療保険改悪など総額九兆円の負担増を押しつけたとき、回復しかけていた景気は、減速しました。

 「景気がようやく上向きかけようとした段階で、消費税や社会保険料の引上げなどにより国民に負担増を求めた九七年と同じ轍(てつ)を踏んではならない」。日本商工会議所も〇五年十月に公表した「当面の諸課題に関するポジショニングペーパー」も、小泉内閣による負担増路線に疑問を呈しています。

 「これでは、明るい未来なんて見えない」。東京都内の保育園でパートで働く女性(22)は、相次ぐ負担増に不安を隠しません。

 「私たちがなけなしの収入の中から納めた税金が、無駄な公共事業とか軍事費に使われて、福祉や暮らしのために使われていないという現実を変えなきゃって思います」

表

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図

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政府・与党 大増税へ動く

 政府・与党は、所得税・住民税の定率減税の全廃を足掛かりに、二〇〇七年度をめどに、消費税増税を含めた「税体系の抜本的改革」を実現しようとしています。二日には、定率減税全廃を盛り込んだ〇六年度予算案が衆院を通過。これをうけて自民党税制調査会(柳沢伯夫会長)が〇七年度税制「改正」議論をはじめるなど、庶民増税に向けた動きが活発になっています。

 自民税調は、〇七年度税制「改正」議論について、配偶者控除、扶養控除といった各種控除や法人税の見直しなどからはじめ、その後、消費税増税論議につなげる方針です。中川秀直政調会長が国会で、扶養親族から「ニート」と呼ばれる若者を除外する考えを示すなど、所得税の各種控除の縮小・廃止が検討課題となっています。

 また、谷垣禎一財務相は四日、日本テレビの番組で、増加する社会保障費の財源について「消費税にかなりの役割を担ってもらわざるを得ない」とのべ、主に消費税率の引き上げで賄う姿勢を示しました。引き上げ法案についても「〇七年度に出すのが一つの流れだ」と強調しています。


社会的連帯ではね返そう

 庶民大増税ストップを掲げた行動が3月から4月に全国各地で取り組まれます。

 3月中旬には、3・13重税反対全国統一行動(同実行委員会主催)が取り組まれます。「庶民大増税ストップ」「年金・医療改悪ストップ」などを求めます。

 4月1日には、消費税施行18年目を迎えます。この日には、消費税廃止各界連絡会や消費税をなくす会、日本共産党などが「全国怒りの宣伝署名行動」を計画。消費税増税反対の取り組みを壮大な規模で成功させようと呼びかけています。


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